エンジン一筋「本田宗一郎」が四輪車進出で経産官僚を「バカヤロー」と怒鳴りつけた日

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宗一郎のスピリット

 そして、その後、経営に口をはさむことは一切、なかった。本田宗一郎の「引き際の美学」として語り継がれている。宗一郎は1991(平成3)年8月5日、84歳で亡くなった。

 宗一郎はエンジン一筋の人生だった。彼は部下たちをこう叱咤激励した。「バカヤロー! モノが駄目だったら、それは(全部)駄目なんだよ」。

 今、ホンダは走行時に排出ガスがまったく出ない燃料電池車や電気自動車で挑戦している。宗一郎の精神(スピリット)が別の地平で脈々と息づいているということだ。(敬称略)

有森隆(ありもり・たかし)
経済ジャーナリスト。早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書には『日銀エリートの「挫折と転落」--木村剛「天、我に味方せず」』(講談社)、『海外大型M&A 大失敗の内幕』、『社長解任 権力抗争の内幕』、『社長引責 破綻からV字回復の内幕』、『住友銀行暗黒史』(以上、さくら舎)、『実録アングラマネー』、『創業家物語』、『企業舎弟闇の抗争』(講談社+α文庫)、『異端社長の流儀』(だいわ文庫)、『プロ経営者の時代』(千倉書房)などがある。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月25日掲載

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