オリ・山本、カープ・鈴木、巨人・菅野、楽天・田中、MLB担当スカウトによる忖度なしの「リアル評価」とは?

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2022年シーズンに向けた争奪戦

 果たして今オフ、海を渡る日本人メジャーリーガーは誰なのか――。プロ野球ではレギュラーシーズン終了が近づく今も、セ・パ両リーグともにペナント優勝、CS(クライマックスシリーズ)出場権を巡るAクラス争いで激しいデッドヒートが繰り広げられている。一方、MLBのスカウトたちも群雄割拠のNPBでインパクトを残す日本人選手たちの一挙一動を注視しながらスカウティング・リポートをまとめ上げ、詰めの作業に入っている段階だ。2022年シーズン以降、米大リーグでプレーする可能性のある「4人のサムライ」についてア・リーグ某球団の極東スカウト・I氏に忖度なしの「リアル評価」を聞いた。

【田中将大(楽天=32歳・プロ15年目)】
 とにかく勝ち星に恵まれない。そんな印象のある今季の成績はここまで22試合に先発し、4勝8敗、防御率3.11。名門ヤンキースで7年間プレーし、2019年まで6年連続で2桁勝利を飾ったはずのレジェンド右腕が8年ぶりに復帰した古巣では勝敗だけ見ると“苦戦”しているように思える。楽天のエースとして24勝0敗、防御率1.27という驚異的な成績を残した2013年の衝撃が余りにも強過ぎたことも、物足りなさを覚える要因となっているだろう。

ウイニングショットのスプリットの落差

 しかしながらMLBも重視するセイバーメトリクス(統計学的な分析)の投手指標の1つである「WHIP(投球回あたり与四球と被安打数の合計)」は1.05となっており、リーグ勝ち頭の山本由伸(オリックス)に次いで同2位をマーク。たとえ勝てなくても屈指の好投手として、それなりの内容を残していることに疑いの余地はない。

 だが、こうした点も加味した上でI氏は「確かに登板試合でゲームを作っているケースが多く、打線の援護を得られずに黒星を重ねていることに関しては不運なところもあるが」としながら意外にシビアな見解を示しつつ、次のように続けている。

「メジャー時代から彼の生命線であり、ウイニングショットとしても多投していたスプリットの落差がなくなり、見切られてしまって投球の幅がなくなっている。加齢によるものなのか、それとも今シーズン開幕に間に合わない原因となったコンディション不良によるものなのかは不透明だが、いずれにせよ下半身に踏ん張りが利かなくなっていることが投球に多少なりとも悪影響を与えている感は否めない」

 それも、勝負どころで痛打される要因として挙げられるという。

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