【独自調査】「西友」ハチミツから基準値4倍の「発がん性疑惑農薬」が 避けるべき原産国は?

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衝撃的な数字

 本誌報道を受けて会社が発表したリリースに、グリホサートの残留基準値が緩和される動きについての記述があることは前述した。実は件の「お家騒動」訴訟において被告側、すなわち現経営者側は「基準値見直し」に関する興味深い資料を証拠として出している。それは「グリホサートの残留基準値の見直しについて」と題する資料で、そこに、掲載したグラフが添付されているのだ。資料を作成したのは「一般社団法人 全国はちみつ公正取引協議会」と「全日本はちみつ協同組合」である。

 問題のグラフは輸入ハチミツのグリホサート残留検査結果を示すもので、アルゼンチン産は約71%、カナダ産は約33%が基準値超となっている。一方、ハンガリーとスペインはいずれも基準値超はゼロである。

「全国はちみつ公正取引協議会」の担当者によると、

「昨年までに会員企業から集めたデータを元に作成しました。検査したのは出回っているものではなく、輸入前のハチミツについてです。日本に比べて海外の基準が緩いという実態を厚生労働省にお伝えするための調査資料です」

 日本の基準値が厳しく設定されているとはいえ、アルゼンチン産の7割以上が基準値超というのはなかなか衝撃的な数字ではないか。そこで本誌は「サクラ印」以外の3社のハチミツ4品を独自に調査。すると、大手スーパー「西友」が輸入販売するブランドの商品から基準値の4倍のグリホサートが検出されたのである(掲載の表参照)。

「アルゼンチン産のハチミツが高い確率で基準値超となるのは納得できます。グリホサートを主成分とする除草剤『ラウンドアップ』を開発したモンサント社が製品を広めるため、ラウンドアップを大量に輸出したのがアルゼンチンやブラジルですから」

 本誌連載をまとめた『本当は危ない国産食品』(新潮新書)でグリホサートの問題を取り上げたノンフィクション作家の奥野修司氏はそう語る。

「カナダも国土が広く大規模農場に向いていたので最初からアメリカと同じくらいラウンドアップを使っています。スペインは、全体的に食への意識が高いEUの中でも、オーガニック耕作地の割合が高い。そのため基準値を超えるものがなかったのでしょう」

 意外に基準値超が少なかった中国産に関しては、

「確かにラウンドアップを積極的に使っている印象はありませんが、農薬全体の使用量は世界一なのでおすすめはできません」(同)

 重要なのはこうした事情を“知る”ことではなかろうか。知った上で避けるかどうかは無論、消費者個々の判断に委ねられている。

週刊新潮 2021年10月21日号掲載

特集「独自検査第2弾『サクラ印』だけではなかった! あの『大手スーパー』ハチミツからも基準値の4倍の『発がん性疑惑農薬』」より

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