日大2億円流出事件、背景に“元タカラジェンヌ愛人”の存在 逮捕された理事の実姉

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タックル問題で加害者に隠蔽を強要

 発端は2020年4月、建て替えに伴う板橋病院の設計業務などが、都内の設計会社に約24億円で発注されたことだ。前年12月に、建て替え業務は井ノ口が取締役を兼務する日大事業部に委託され、発注先の選定に井ノ口の意向が強く働いたとされる。

 同年7月、日大から着手金として7億3千万円が設計会社に払われ、翌月に井ノ口の指示で、うち2億2千万円が同社から籔本が全株保有する港区の法人に送金。

「同法人は活動実態のないペーパーカンパニーで、入金直後に籔本側からまず3千万円が田中理事長へ、さらにその後、井ノ口が実質支配する会社にも6600万円が送金された。うち2500万円は手渡しで井ノ口に渡っています」(同)

 一連の資金移動を主導したのが、「ドンの最側近」として学内で睨みを利かせてきた井ノ口である。

 18年、日大アメフト部の選手が相手選手の後方からタックルを浴びせ、全治3週間のケガを負わせた危険プレーに批判が集中。監督とコーチの指示によるものだったが、問題発覚後、井ノ口が加害選手と父親に「(隠蔽に同意すれば)一生面倒を見る。そうでなかった時は総力を挙げて潰す」などと恫喝した事実が明らかになり、事業部取締役と日大理事の職を追われた。

「ところが、ほとぼりが冷めた1年後にちゃっかり復職。おまけに以前にも増して権勢を振るうようになり、事業部の手掛ける取引はすべて井ノ口さんが仕切るようになった」(日大関係者)

 親分に倣(なら)って、井ノ口容疑者も否認を続けているが、捜査の過程で前述の6600万円以外にも、籔本から現金や高級時計を受領していた疑いが浮上。二人の関係に改めて焦点が当たるなか、さる日大職員OBはこう証言する。

「籔本氏の息子の一人は日大松戸歯学部卒ですが、入学時、“彼は井ノ口さんの計らいで『アメフト部推薦枠』で入ったので、くれぐれもよろしく”との申し渡しが、局長など各関係者になされた。要は“特別ルート”での裏口入学だから、アフターフォローも怠るなということです」(日大は同証言について「把握していない」と回答)

 実は名前は伏せられているが、1997年、都内の医療法人会長に「アメフト部の推薦枠を使えば歯学部に入学できる」と持ち掛け、5千万円を騙し取った「裏口入学詐欺犯」として、井ノ口は新聞に報じられた“前科”を持つ。

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