緊急事態宣言が解除されても…「鉄道フェスティバル」3年連続中止の重要な意味

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さらに深刻なのは…

 さらに深刻なのは、技術開発競争からの脱落だ。これは決して大袈裟な話ではない。鉄道関係者の間では、いずれ日本が鉄道後進国になるのではないか、といった心配も出始めている。

 そうした憂慮は、すでにほかの業界で顕著になっている。2021年6月、経済産業省は半導体戦略を発表した。そこには、日本の半導体産業の危機的な状況であることが示されていた。

 経産省の資料では、日本の半導体産業は1990年にピークを迎え、日本メーカーの世界シェアは50%を超えていた。しかし、それ以降は地位を低下させ、2019年における日本メーカーの世界シェアは10%にまで縮小している。このまま凋落していくと、2050年には日本メーカーの世界シェアが0になると予測している。

 日本のお家芸だったものづくりは、すでに世界各国の後塵を拝しつつある。現状、日本の鉄道業界の技術は抜きん出ているが決して楽観視できる状態ではない。

 鉄道分野でも後進国にならないためにも、鉄道フェスティバルのようなイベントを開いて明日を担う少年少女たちに興味を抱いてもらわなければならない。興味を抱いてもらうことが、鉄道業界に新たな人材を引き寄せ、成長を促し、それが日本経済の発展にもつながっていく。

 鉄道フェスティバルの真の目的は、次世代に機械・材料・構造・安全工学などの最新技術を引き継ぐこと。日本の将来を見据えて開催されていると言っても過言ではない。

小川裕夫/フリーランスライター

デイリー新潮取材班編集

2021年10月15日掲載

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