【W杯予選】豪州戦勝利でも悪い流れは変わっていない…思い出すべき「加茂監督更迭」の教訓

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 後半41分、浅野拓磨のシュートからオーストラリアのOGが決まった瞬間、ピッチの選手はもちろん、ベンチにいた選手も一斉に飛び出して喜びを爆発させた。

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 これだけ「1点」の重みを熟知して、ピッチとベンチの選手が一体となって歓喜したのは、もしかしたら97年11月16日のフランスW杯予選の第3代表決定戦、イラン戦(3-2)以来かもしれない。

 あの時は岡野雅行のゴールデンゴールでW杯出場を決めた。しかし現在の日本は、まだまだ厳しい状況に置かれていることに変わりはない。

 グループBは、中国を3-2で下して4連勝のサウジアラビアが勝点12で首位に浮上。3勝1敗のオーストラリアが2位で、ベトナムに3-1で勝ったオマーンが総得点で日本を上回って3位。つまり現在の日本は4位に甘んじて、プレーオフの出場権をオマーンと争っている状況だ。

 このため11月のアウェー2連戦では、最下位のベトナムから複数得点を奪い、なおかつオマーンにはホームでの雪辱を果たさないと、2位浮上はもちろん3位にも食い込めない可能性がある。オーストラリアに勝ったからといって「首の皮一枚でつながっている」(吉田麻也)厳しい状況に変わりはないのだ。

変化の兆し

 さてオーストラリア戦である。“背水の陣”になったことで、ようやく森保一監督は動いた。4-2-3-1のシステムから4-3-3に代え、トップ下で機能しなかった鎌田大地とサウジアラビア戦で失点につながるパスミスをした柴崎岳をベンチに下げた。

 代わりに起用された守田英正と田中碧の“元川崎Fコンビ”に加えて遠藤航は、攻守に連動できるユーティリティー性が持ち味でもある。本来ならアウェーのサウジアラビア戦こそ、この3人を起用すべきだった。

 そして初スタメンの田中が先制点を決めた。これまでの日本は最終予選のたびに、「ラッキーボーイ」や「スーパーサブ」が出現してチームの苦境を救ってきた。

 井手口陽介であり久保裕也、大黒将志らだ。しかし毎試合とも同じメンバーではそうした選手が出現するわけがない。森保監督がスタメンを変えたことで、やっと日本にも変化の兆しが訪れた。

 ところが後半は、オーストラリアがポゼッションによる「地上戦」から、シンプルにロングボールを放り込んでくる「空中戦」に変えたことで、日本のDFラインは後退を余儀なくされた。

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