細あご、ペチャ鼻の人は要注意の「睡眠時無呼吸症候群」 健常者の約7倍の確率で交通事故

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「睡眠時無呼吸症候群」。英語ではSAS(サス)(Sleep Apnea Syndrome)と呼ばれるが、一体どのような病なのか。

「一言で言えば、睡眠中に何度も呼吸が止まってしまう病気です」

 と解説するのは、医療法人「RESM(リズム)」の白濱龍太郎理事長である。白濱氏は、SAS患者を1万人以上治療してきた経験を持つ。

「睡眠時に何らかの理由で上気道が塞がれてしまい、呼吸が困難になり、睡眠障害を招く。それが続くことによって、短期、長期の両面で健康に重大な影響を及ぼします」

 簡単に言えば、眠っている間に首を絞められている、あるいは水中で溺れている状態、というわけである。

「なぜそんなことが起きるのか。SASの原因の9割は『閉塞性』と呼ばれるものです。上気道は空気の通り道ですが、首やのどまわりに脂肪が付くことなどによってそれが狭まると、睡眠時に落ちる舌根や『のどちんこ』で塞がりやすくなる。すると空気が通らず、窒息状態となります。そうなると血中酸素飽和度が低下し、苦しくなって覚醒が起こり、気道が広がることで呼吸が再開する。しばらくするとまた舌根が落ちて上気道が塞がる。一晩の間にそれが何度も繰り返されるのです」

 患者の睡眠時の呼吸音を聞くと、大きないびき→沈黙→いびきの繰り返し。この沈黙時に呼吸が止まり、いびき時には再開しているというわけである。

「10秒以上呼吸が止まっている状態を『無呼吸』、普段の半分以下しか呼吸ができていない状態を『低呼吸』と呼びます。無呼吸や低呼吸の状態が1時間のうち5回以上、あるいは一晩で30回以上ある場合、SASと診断される。頻度によって、軽症、中等症、重症と分けられます。重症患者さんの中には、1時間で100回以上も無呼吸や低呼吸になる方もいます。単純計算で、1時間で千秒以上も息を止めている状態があるということです。試しに今、呼吸を止めてみてください。10秒ちょっとも止めたら苦しくなるはず。患者さんの睡眠時の息苦しさがおわかりいただけると思います。酸素の薄さという点では、ヒマラヤに登っている状態に匹敵する」

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