【W杯予選】森保監督のあり得ない采配でサウジに敗戦 技術委員会の“失態”も問われるべき
長らくサッカーの取材を続けてきて、W杯予選や五輪予選の試合はかなり見て来たと思う。ジーコ・ジャンパンの時代には埼玉スタジアムでのホームゲームにもかかわらず、終了近くになって相手OGで引き分けになった試合もあった。
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02年の釜山アジア大会では延長戦に入って横パスをかっさらわれて決勝点を許し、準優勝に甘んじたこともあった。
しかし、サウジアラビア戦の柴崎岳のバックパスのように、これほど見事に相手にゴールをプレゼントしたパスを見たのは初めてである。まさに日本にとって“キラーパス”だった。
柴崎は、例えば18年ロシアW杯のベルギー戦で原口元気のゴールをアシストしたように、“キラーパス”を出せる天才的なセンスの持ち主である。
しかし守備に不安があるため、最低でも引き分けがノルマのサウジアラビア戦でスタメン起用するとは思わなかった。まして同じく守備に不安のある鎌田大地(トップ下)との併用は、敵地でのサウジアラビア戦では「あり得ない」采配だった。
森保一監督は、何を考えていたのかだろうか?
試合を簡単に振り返るなら、日本にも勝機はあった。
19年にUAEで開催されたアジアカップでは、ボール支配率で23%対77%と圧倒され、吉田麻也は「あれだけアジアで日本がボールを回され、保持されたのは記憶にないくらい。それだけボール保持率に長けている」と試合前に話していた。
負ける気配のなかった前半
試合は冨安健洋のゴールで1-0と勝ったものの、完全に試合を支配され、圧倒されたのは日本にとって初めてだった。長年のライバルである韓国やイラン、オーストラリアとの試合でも、ここまで一方的に攻め込まれることはなかった。
ところが今回のサウジアラビアは、19年に対戦した時ほどの圧力はなかった。イーブンな展開でスタートした試合は、前半7分に柴崎がロングシュートでGKを脅かすと、24分には南野拓実が惜しいヘディングシュートを放った。
そして最大の決定機は前半29分、長友佑都のブロックから鎌田のスルーパスに大迫勇也が抜け出しGKと1対1のチャンスを迎えた。手数をかけないシンプルな攻めは効果的で、少なくとも負ける気配は、前半を見る限りはなかった。
ところが後半に入ると5分に冷や汗をかかされた。ミドルサードで柴崎がボールを奪われ、カウンターから最後はガリーブにフリーでシュートを許す。
これはGK権田修一が足でブロックしてゴールを死守した。ボールを奪われた柴崎は両手を広げて反則をアピールしたが、ここは敵地であることを忘れたのだろうか。
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