【W杯予選】森保監督のあり得ない采配でサウジに敗戦 技術委員会の“失態”も問われるべき

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柴崎の独りよがりなプレー

 14年のブラジルW杯後、大久保嘉人にインタビューした際に、彼はこんなことを言っていた。

「中盤でボールを失ったのに、両手を広げて肩をすくめ、『僕は反則をしていませんよ』とアピールしている選手がいた。ふざけるなと思いました。ボールを失ったら、反則をしてでも止めるべきでしょ。ハーフラインを越えたあたりなら、FKも直接ゴールを狙えないので、レッドカードをもらわないよう相手の攻撃を止める。それくらいしないとW杯では勝てませんよ」

 熱血漢である大久保らしいコメントだし、彼の意見には100%賛成だ。そして柴崎は、後半21分に自陣右サイドで「股抜き」を試みてボールを失っている。こうした“軽い”プレー、この試合の持つ意味を理解していない独りよがりな“アバウト”なプレーが、その後の失点につながったと言っても過言ではないだろう。

 森保監督は、珍しくスコアが動く前に選手を交代した。午後8時のキックオフとはいえ、消耗が激しかったのだろう。南野に代え古橋亨梧、浅野拓磨に代えて原口元気を投入した。

 南野は前半のヘディングシュート以外、ほとんど存在感を発揮していない。おそらくコンディションが万全ではなかったのではないか。

アジア王者から陥落した日本

 そんな彼をスタメン起用した采配にも疑問が残る。敵地でのドローを視野に入れるなら、強度の高い守備力を持つ原口をベンチに置いたのも「?」だ。

 これは今に始まったことではないが、森保監督の選手交代はわかりやすい。ほとんどが同じポジションに似たような選手を起用するだけで、システムの変更がなければ、戦術の変更もない。

 あとは起用された選手の頑張り次第という交代策だ。対戦相手にとって、これだけわかりやすい采配もないだろう。

 それでも勝てるという自負があるとしたら、それは慢心でしかない。

 なぜなら、19年のアジアカップでは辛うじて準優勝したものの、サウジアラビアだけでなく、イラン戦以外は先制されるなど格下と思っていた相手に苦戦したこと。20年1月にタイで開催された東京五輪予選を兼ねたAFC U-23選手権ではグループリーグ敗退した現実を真剣に受け止めてこなかったことの“しっぺ返し”でもある。日本はもはやアジアの王者ではない。

 監督の資質や責任をチェックする機能がないがため、今回の失態につながった。それは技術委員会の、組織としての“失態”でもある。ただ、まだ予選敗退が決まったわけではない。

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