「横浜出身」って言っちゃいけないの? ふかわりょうが思う「地名のイメージ」

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なかなか変えられない言葉のイメージ

 学生の頃、「清泉女子大学」とのテニスサークルにも所属したいました。「清泉寮」とは関係ありませんが、「清らかな泉」から勝手に抱いたイメージに見合う女性ばかりではなかったものの、「清泉」「聖心」「白百合」「フェリス」は泣く子も黙る四大女子大で、合コンも引く手数多。一方、その清らかさとは別に、ファンキーさで「大妻女子大」が頭角を現し、合コンとなると男子は「試合」と呼ぶほど、相当な覚悟で臨んでいました。校風がイメージを作るのか、学生が作るのか。大学名も、ブランド価値が高かった時代。

 ブランドでいうと、伊勢海老。由来である伊勢はもちろん、現在はさまざまな場所で獲れる高級食材。蟹は、水揚げされる場所で呼び方が変わりますが、伊勢海老はこのブランド力からか、どこで獲れても「伊勢海老」。確かに、この字面の強さ。四字熟語かと思わせるほどのバランス。実際、千葉の房総半島で獲れる「伊勢海老」は「房州海老」と地元で呼ばれ、私も好きなのですが、多くの人は「伊勢海老」に、より価値を感じてしまいます。

 ビルの解体に建築並みのコストがかかるように、一度作り上げたイメージを変えることは、何もないところから築くよりも困難かもしれません。

 言葉のイメージ。きっと、人工的なブランディングではなく、潮の香りと波の音が、今日の「湘南」を形成したのでしょう。久しぶりに、マーロウのプリンが食べたくなりました。

2021年10月9日掲載

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