片瀬那奈は事実上のクビだった ドラマ関係者から「一緒に仕事はできない」との声が噴出

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クリーンな「研音」

 だが、研音にその動きはなかった。

 研音は競艇専門紙「研究出版」の音楽事業部として1973年に設立された。1982年には中森明菜(56)をデビューさせ、売れっ子に育て上げたものの、1990年代以降は役者が中心の芸能プロに舵を切った。

 その戦略は成功。今や山口智子(56)、天海祐希(54)、菅野美穂(44) 榮倉奈々(33)、唐沢寿明(58)、反町隆史(47)、竹野内豊(50)、沢村一樹(54)ら大物や売れっ子がズラリ。

 そろってクリーンな印象を持たれているのも特徴だ。だからCM契約が多い。片瀬の存在は異端だった。ほかの役者たちの足を引っ張ってしまう恐れがあった。

 あらためて片瀬と薬物の問題について振り返りたい。それは約1年10カ月前、妹のように可愛がっていた沢尻エリカの逮捕から始まった。一緒にクラブ遊びなどに興じていた片瀬の名前も取りざたされた。

 もっとも、片瀬は研音や仕事先に薬物との関わりを否定。当時MCを務めていた日本テレビの情報番組「シューイチ」の生放送内では怒りをあらわにした。

「悲しくて、ショックで、何で、驚きと渦巻いていて。これだけ近くにいて何も知らなかったのは本当に悲しいし、裏切られた気持ち」(当時の「シューイチ」での片瀬の言葉)

 だが、片瀬と同棲相手の岡田容疑者は当時から捜査当局にマークされていたようだ。そして今年7月上旬、捜査当局は岡田容疑者がコカインを使用しながら、違う女性と性行為をしていたところを逮捕した。

沢尻、ピエール瀧の違約金は

 芸能人が違約金を払う羽目になるケースで圧倒的に多いのは薬物事案にほかならない。大抵は途方もない金額で、芸能人本人では支払えないので、事務所が立て替えるが、貸し倒れになるケースも多い。これが事務所には痛い。

 沢尻の場合、CM契約が4社あり、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の前半が撮り直しとなったことから、違約金は約10億円に達したとされる。もちろん本人に支払えるはずがなく、大半は事務所が立て替えた。

 2019年に麻薬取締法違反=コカイン使用=で逮捕されたピエール瀧(54)の場合、芸能界史上最高の約30億円と言われている。やはりCMが4社あり、大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺」の一部が撮り直しとなって、ディズニーアニメ「アナと雪の女王」の日本語吹き替え版で「オラフ」役を務めていた上、出演していたゲームの販売が止まったためだった。

 昨年10月にひき逃げで逮捕(不起訴)された伊藤健太郎(24)も高額の違約金を請求された。こういったケースは事務所が予防策を講じるのが難しい。

 一方、薬物事案は違う。所属タレントの素行に目を配っていれば大半が防げる。素行が疑わしいタレントには仕事を入れなかったり、契約を解除したりすればいいからだ。

 違約金が重くのしかかるのを避けるため、各事務所は薬物のチェックに躍起。検査キットを自前で用意し、薬物検査を行い、クロとなったタレントの契約を内々に解除している事務所もある。

 それほどだから、疑いの目を向けられた役者を受け入れる事務所は簡単には見つかりそうにない。リスクを背負う存在でもある事務所に所属していないと、仕事を入れるのは難しい。

 片瀬の前途は多難だ。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月2日掲載

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