武蔵野市が吉祥寺駅前の駐輪場を“疑惑”の売却 市長の関与を勘繰る声も

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市長選を有利に

 市議が続ける。

「それが土地の“交換”です。市の規定では、行政目的上必要な土地がある場合、その土地を購入する代わりに市が所有している土地を代替地として売り払うことができると定められている。具体的には、市は、不動産業者が駅徒歩3分の場所に所有していた消防団の分団詰所の隣地を“詰所の拡張に必要”と理屈をつけて今年8月に購入。その代替地として、駐輪場を相対取引で売り払おうとしているのです」

 ところが、

「この駐輪場売買にはさらなる“からくり”がある」

 と、さる市政関係者。

「実は、この不動産業者は、駐輪場の西隣に位置する、大通りに面した幅5メートルほどの狭小ビルを18年に購入しているんです。そして“交換”の対象となる消防団詰所の隣地を購入したのは翌19年。さらにこの不動産業者の一連の土地取得と示し合わせたかのように、20年になって市役所内で駐輪場の随意契約に関する検討が始まるのです」

 300平方メートルにもなる駐輪場跡地が手に入れば、不動産業者は18年に取得した狭小ビルの土地と合わせて、駅前の一等地に巨大な土地を所有することになる。

「まるで、駐輪場売却をあらかじめ知っていたかのような不動産業者の土地取得に、不透明で性急な市の駐輪場売り払い。市が“消防団詰所の拡張”を理由に挙げたことから、地元の名士が多く名を連ねる消防団に便宜を図り、市長が選挙を有利に進めようとしたのでは、という臆測も飛び交っています」(同)

 市長の“良からぬ企み”を勘繰る声が噴出するのも当然というワケだ。

 別の市議も、

「駐輪場がある場所は再開発のための種地として、市が1990年代に取得した土地。簡単に払い下げていいものではないのです。それに、駐輪場がある土地が容積率600%なのに対し、消防団詰所の隣地は300%。今回の取引が市民にとって最善の策であるかは大いに疑問があります」

 割を食うのは市民である。

週刊新潮 2021年10月7日号掲載

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