暴走に見えた安倍前総理の“高市支持”のウラにあった謀略とは 新政権の課題は“長老”の排除か

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“岸田さんは頼りない”

 本誌(「週刊新潮」)は9月30日号で安倍氏の背後に森喜朗元総理がいること、一方で岸田選対に自身の腹心である今井尚哉元総理秘書官を送り込んだことを報じたが、安倍氏の弟である岸信夫防衛相は別の見立てを披露していたという。

 防衛省関係者によれば、

「岸さんは周囲に安倍さんの思いを概ねこう代弁しています。曰く“河野さんもダメだけど、対中国政策で岸田さんは頼りない。心の底でどう考えているのかよくわからないんだよね”と。台湾有事が起きるといわれている中で、新総裁には中国との距離感も重要だというわけなんです」

 岸田氏は第2次安倍政権時代から4年以上の長期にわたり、外務大臣を務めた。日中関係については、日米同盟を基軸としつつ、対話を閉ざすわけにはいかない、としていた。

 河野氏は先日、弟の二郎氏が社長を務める日本端子株式会社が中国に関連企業を保有、と報じられた。

「中国から見れば、タカ派の高市さんは0点、岸田さんは50点、河野さんは100点になるでしょう」

 と指摘するのは、産経新聞台北支局長の矢板明夫氏。

「岸田さんは安倍路線を継ぐというものの、靖国参拝もしないし、台湾有事に関しては、高市さんよりも穏当な対処をするとみられています。河野さんは外相時代に中国の女性報道官とのツーショット写真が中国メディアで好意的に紹介されたこともありました。中国当局も今までの安倍路線と決別し、新しい関係をもたらしてくれるのでは、という期待感があったのです」

 こうした点を踏まえ、先のデスクが言葉を継ぐ。

「安倍さんは今年の都議選や横浜市長選で保守の票が逃げている、と分析をしていました。“横浜市長選では自民支持層の4割しか票がとれていない。7割はとれないと選挙は勝てない”と。今回の総裁選では、高市さんを立てることで保守層を振り向かせる狙いもありました。結果、河野さんは女系容認等の皇位継承問題などで、岸田さんは対中政策や敵基地攻撃能力の保有などで保守に寄る形となった。結局、総裁選最終盤に安倍さんは“岸田さんはたくましくなった”“仲間もいないのに出馬しようなんて高市さんはおかしいよ”と漏らすようになりました」

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