巨人“大失速”の起点 阪神・矢野監督は原采配を教訓にした?【柴田勲のセブンアイズ】

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首位、2位と4ゲーム差

 巨人の自力優勝の可能性が消えた。26日の阪神戦(東京ドーム)に3対4で敗れ、首位・ヤクルト、2位・阪神とは4ゲーム差に広がってしまった。

 24日からの阪神3連戦、最悪でも2勝1敗、あわよくば3連勝しないかと思って見ていたが全く逆の目が出た。阪神の2勝1分、勢いづかせる結果になった。

 巨人は8月29日に4月1日以来の首位に立ったものの、勝負の9月に入って勢いが大失速、9月は6勝11敗5分となった。3試合を残しているが月間負け越しも決まった。

 逆に9月に入って猛烈に勢いづいたのがヤクルトだ。12試合負けなしで26日の中日戦に大勝して10年ぶりの8連勝だ。投打のバランスが実にいい。そりゃ連勝の反動が必ずあるはずだが2連敗、悪くて3連敗くらいで止まると見る。阪神はあまり勢いを感じなかったが今回の巨人戦で16年ぶりの優勝へ手応えをつかんだのではないか。

 前回の今コラムで阪神、ヤクルト、巨人の三つどもえの様相と記した。だが、巨人のリーグ3連覇は大失速で厳しい状況となった。それでも巨人は2007年、08年に自力優勝の可能性が消えても逆転優勝した実績がある。残り21試合を戦い抜くしかない。

 遠くを見るのではなく、目の前の一戦一戦を大事にする。3連勝、4連勝すればチーム全体に勢いが出てくるかもしれない。

流れを変えるな

 9月の大失速…勝負事における「流れ」は本当に怖い。ハッキリ言えば、9月5日の阪神戦(甲子園)から始まり、いまだに尾を引いているような気がしてならない。序盤で6点のリードを守れなかった一戦だ。好投していたC.C.メルセデスを5回限りで引っ込め、また坂本勇人を6回の守備からベンチに下げた。しかし代役の若林晃弘、さらに廣岡大志がエラーをした。交代が裏目に出た。まあ、坂本の場合は疲れが溜まっていたからだったかもしれないが、メルセデスを代える必要はなかった。

「自分のチームに流れが来ている時は流れを変えるな」である。坂本の途中交代よりもメルセデスを下げたことが6点差を追いつかれた大きな原因だったと思う。流れを相手に渡してしまったからだ。滅多に起きないことが起きてしまった。

 25日の第2戦、阪神の先発・高橋遥人が素晴らしい投球を見せた。菅野智之と比べても球の力が違った。

 完封ペースできていたが、矢野燿大監督は大事を取って8回に岩崎優、そして9回は守護神、ロベルト・スアレスでいくかと思った。だが続投だった。9回、高橋がピンチを招いても動こうとしなかった。ベンチでどっしり構えていた。結果は完封勝利だ。

 矢野監督は5日の原采配を教訓にしたのではないか。「いい時は流れを変えるな」だ。こう思った。

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