山口組は「公共の場で銃使うな」と指示 ならばヤクザはどんな武器を使うのか

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銃がダメなら?

 9月2日の午前7時29分、YAHOO!ニュースのトピックスに「山口組『銃使うな』判決意識か」との記事が掲載された。

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 朝日新聞DIGITALが同日の午前6時に配信した「山口組、構成員に『公共の場で銃使うな』 工藤会の判決を意識か」が転載されたものだ。

 記事は、以下の1点に要約できる。

《指定暴力団山口組(神戸市)の一部の傘下組織が構成員に対し、公共の場で銃器を使わないよう指示を出したことが関係者への取材でわかった》

 8月24日、全国で唯一「特定危険指定暴力団」に指定された工藤会(北九州市)の総裁である野村悟被告(74)に福岡地裁が死刑判決を下した。

 この判決が影響を与えた、と朝日新聞は指摘した。野村被告は実際に殺傷を行ったわけではない。殺害を命じたことで極刑となったのだ。

『山口組対山口組 終わりなき消耗戦の内側』(太田出版)の著作があり、暴力団の動向に詳しいジャーナリストの藤原良氏は「暴力団側の“危機管理”が、非常に早いスピードで進んでいる印象です」と言う。

「野村被告への死刑判決は、全国の暴力団に衝撃を与えました。ただ、そうだからと言って、単純に『もう拳銃は使うな』と指示を出したわけではありません。暴力団の幹部は、もっと先を見据えています」

暴力団の“危機管理”

 例えば2013年1月、野村被告が局部の増大手術と脱毛施術を受けたクリニックの担当看護師を逆恨みし、組員が刃物で看護師に重傷を負わせた。

 このように工藤会は、「組員」が凶行に及んだケースが少なくない。だが、これは全国の暴力団における“常識”とは合致しない点があるという。

「暴力団が相手の殺害を決断すると、実行役の組員を“偽装破門”することは珍しいことではありません。指示した組長は『破門した人間のやったことなので、我々とは無関係です。ご自由に逮捕してください』と嘯き、警察も実行犯が逮捕できるため、その言い分を呑んだのです。昭和の暴力団と警察は、いわば水面下で手打ちができていたと言っていいでしょう」(同・藤原氏)

 野村被告の裁判で明らかになったのは、偽装破門がほとんど行われていない事実だ。ただし、他の暴力団も「偽装破門を行っていたなら、死刑判決を免れただろう」とは考えていないという。

「暴力団の幹部は『今後、司法は偽装破門も厳しく対処してくる』と予測しています。『実行犯の組員を破門しても、裁判では斟酌されない』と考えているのです。実を言うと、暴力団の幹部は朝日新聞の報道を歓迎しています。もっと他紙にも書いてほしいとすら考えています。それは『私たちは拳銃など、もう使いません』というアピールにつながるからです」(同・藤原氏)

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