メルセデス交代への大きな疑問 それにしても中田翔はよくない【柴田勲のセブンアイズ】

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エースの菅野は本格復調

 それにしても中田翔はよくない。いや、ダメだね。打ちたい、なんとかしたいという気持ちが先走って手先だけで打っている。これでは速い球に詰まり、緩い球には泳ぐ。たまに打つのは真ん中あたりに入ってきた甘いスライダーぐらいで、いまは内角を徹底的に攻められて、外角のフォーク、スライダーといった変化球にやられている。

 バックスイングをもっと大きく、ゆったり取って投手のモーションに対して、球を迎え打つことだ。タイミングが取りやすくなる。自分のポイントに合わせやすい。

 岡本和はバックスイングをしっかり取っている。前に足が突っ込まず、右腰に重心が残り余裕がある。

 中田はまだ32歳、老け込む年ではない。パワーがあるし、打点王だって3回獲得している。これからだ。不振を脱出してほしい。

 エースの菅野智之が本格復調してきたのは大きい。1日のヤクルト戦(京セラドーム)で8回108球を投げて1安打8奪三振の好投で無失点、4月23日の広島戦以来の白星をつかんだ。単なる1勝ではない。勝負所の9月に入っての復調だ。復調が本物なら、今後の戦いに向けてこれ以上ない好材料だ。

 コントロールが良かったし、なによりも外角、それも低めへの球が多かった。どの投手も一緒だが、やはり外角低めは基本中の基本だと改めて思った。

 さて、巨人にとってこれからも厳しい戦いが続く。阪神は7日から甲子園にヤクルトを迎えての3連戦、星の潰しあいとなる。巨人は横浜でDeNA3連戦だ。下位にいても打撃陣は元気だ。決して侮れない。阪神ショックを吹き飛ばしてもらいたい。

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

デイリー新潮取材班編集

2021年9月7日掲載

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