維新の会「今井豊」副代表に女性事務員との不倫疑惑 記者が質すと「闇献金」を自白

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 これからお読みいただくのは、議員が不倫疑惑を本誌(「週刊新潮」)に追及されて闇献金の受領を自白したという、新喜劇顔負けの瓢箪(ひょうたん)から駒が出たお話だ。主役は維新の会のナンバー2という大物。当人は議員辞職の覚悟まで口になさるが、コトはそう簡単に収まりそうにない。

 ***

 それは2カ月半前のこと。折しも大阪は3回目の緊急事態宣言下にあった。6月14日、雲の切れ目から時おり晴れ間も覗く空の下、ガンメタリックの乗用車が泉佐野市内の月極駐車場に停まった。車から降り立ったのはひとりの男。顔はサングラスとマスクに覆われている。慣れた足取りで向かった先は、地上7階建てマンションの最上階の一室だ。

 そこで数時間を過ごして部屋を出てきた時、すでに夜の帳(とばり)がおりていた。翌日、翌々日も、男の行動は判で押したように同じだった。

 男の正体は今井豊・大阪府議(64)。国政政党の日本維新の会と、地域政党の大阪維新の会の副代表を兼ね、名実ともに維新のナンバー2である。大阪維新の会の関係者が言う。

「維新の会は、もともと自由民主党・維新の会という会派が母体ですが、今井さんはその会派の代表を務めていた古参です。新人候補者を選ぶ権限も、事実上、松井一郎代表から与えられている。かつては、部落解放同盟貝塚支部長をつとめてもいました」

 そして、こう声を潜める。

「最近、今井さんについてはある噂で持ち切りです。事務所の女性と不倫しているという話で……」

 先の場面は今井氏が件の事務員、前田亮子さん(仮名)の部屋に通う様子だ。

「前田さんは経理担当で年齢は60代。離婚歴があり、現在は独身。今井さんには妻がいます」(同)

 今井氏の自宅を訪ね、噂の真偽を質した。

――前田さんのマンションに入り浸っている?

「そんなことはない」

――あそこは前田さんのご自宅です。かなりの回数訪れておられますね。

「何回かね。今は在宅勤務の状況やから。資料を受け渡したりしているだけ」

――6月、大阪府は府民に不要不急の外出自粛を求める緊急事態宣言下でした。

「だから、在宅でいろいろやってもらわなきゃ、しゃあないやんか」

 独り暮らしの女性事務員宅で“在宅”に励んでいたとおっしゃりつつ、こんな釈明を始めた。

「嫁はんから、外に子どもいるんちゃうかと言われたこともある」

――いるんですか。

「おらへんわ。嫁はんに言われて、オレ、パイプカットもしたわけやんか。遊んだらあかんからいうて。パイプカットしてんのはヤクザもんかオレか、って言われてたんや」

 何だか話は妙な方向へ。身の潔白を証明しようとして、あらぬことを話し始めるのが副代表の芸風らしい。やがて、とんでもないことを口にしだした。

「ほんまはもっと大事なことがある。そのことを言うていいのか。ごっつ大きい話やから。前田に持たせてる金があんねん。闇献金」

――どういう意味ですか。

「貝塚市長が内緒の金、ウチに持ってきたんや。これ、もう、受け取ってるから。オレにも責任があるから。要は、闇献金や。トータル100(万円)」

ここで保管してます

――そのお金はどうしたんですか。

「それは前田に渡してある。(お札には)市長の指紋も付いてると思う。この話したから、オレ、もう辞めなあかんやん。違法な献金、受け取ってたわけやから」

 ついに自ら進んで重大な罪の告白にまで及んでしまったわけである。

 ならばと自宅マンションに前田さんを訪ねた。

「(男女の仲については)勝手なご想像でしょう。(闇献金については)処理に困って、とりあえず、ここで保管しています」

 おやまぁ、疑惑の半分、すなわち闇献金のほうについてはお認めになった。

 そこで闇献金の提供者と名指しされた藤原(ふじはら)龍男貝塚市長に市長室で話を聞くと、

「確かにこれまで3回、(今井氏に)お金を渡しています。1回目は12年前、私が1期目の市長として当選した選挙の時で30万円」

 ホ、ホンマかいな。

「2回目は8年前、2期目の市長選の時で20万円。3回目は今年の春先で50万円。1回目と2回目については、(今井氏が市長選挙の)応援で電話を沢山かけたりしてくれたので、その電話代として渡しました。3回目については、あの人(今井氏)が国政を目指すと言うんで、頑張りいよ、という意味で渡した。(50万円については)来年提出する政治資金収支報告書に支出としてきちんと記帳します。ご指摘ありがとう」

 お礼を言われても困るが、少なくとも受領側は闇献金だと“自白”している。

 念のため藤原市長に、今井氏から領収書を取ったかどうか確認すると、

「領収書はない」

 以下は、政治資金の問題に詳しい上脇博之神戸学院大学教授の話。

「領収書の受け渡しがないならば、両者の政治資金収支報告書や選挙運動費用収支報告書にその収支について記載されていないのは明らか。二人の間で表に出せない闇のお金だという認識があったと考えるのが妥当です。金銭を渡した側は、河井克行・案里夫妻と同様、公職選挙法違反に当たる可能性があります」

 今井氏にとって、不倫疑惑は闇献金を明かしてまで誤魔化さねばならない問題なのか。最後に再度、今井氏の弁を紹介しておこう。

「自分ら(=あなたたち記者の意)の普通と、オレの普通はちゃうからさ」

 たしかに感覚が全然違う。

週刊新潮 2021年9月2日号掲載

ワイド特集「家族の肖像」より

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