スタバ、フラペチーノも“紙ストロー”で波紋 専門家は「ふやけるのは仕方ない」

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 スターバックスコーヒージャパンは、9月からフラペチーノドリンクのストローを紙ストローに切り替えることを発表した。昨年1月から紙ストローを導入しているスターバックスでは、一部を除いて全面紙ストロー化となったわけだ。この発表に対し、「紙ストロー本当に使いづらいしドリンクの味も不味くなるし、本当に嫌です」「紙のストローはすぐフニャフニャになる」などとネット上での評判は芳しくない。そもそも紙製ストローにはどんな利点があるのだろうか。

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 フラペチーノは一杯600円前後の冷たいドリンクで、「抹茶 クリーム フラペチーノ」「キャラメル フラペチーノ」などのメニューがスターバックスの看板商品である。コーヒーやクリームなどを氷と一緒にミキサーにかけて作る甘く冷たいドリンクで、ストロー付きで提供される。今回、そのストローが紙製に切り替わることで、年間約2億本分のプラスチックストローが削減されるという。一方で、カップは従来通りプラスチック製だというから、ストローだけを紙製に変更して意味があるのかという素朴な疑問が浮かぶ。

 レジ袋有料化などを審議した環境省の専門家委員会の元委員で、環境汚染に詳しい東京農工大学農学部教授の高田秀重氏によると、

「紙ストロー化に賛成ですし、非常に大きな意味があることだと考えています。確かにストローは、プラスチックごみの中では割合が小さく、これだけで十分とは言えないので、今後はカップを紙製に切り替えるなどさらなるプラスチックの削減を期待したいです。とはいえ、今回のスターバックスの全面紙ストロー化は、プラスチックによる環境汚染やマイクロプラスチックの問題について議論する1つのきっかけとして、とても重要だと思います」

ウミガメの鼻に刺さったストロー

 消費者にとって一番気になるのは紙ストローの使い心地だろう。直接口にくわえるストローだからこそ、「不味くなる」「途中でふやけるのが嫌だ」などの不満の声が上がっているのも事実である。

「極端に言えば、紙ストローはふやけやすく、また水に溶けやすくないと意味が無いのです。2015年頃、アメリカの研究チームが鼻にストローが刺さったウミガメの動画を公開しました。取り除いてやろうとすると苦しそうな顔で、鼻から血を流すウミガメの姿にたくさんの人が心を痛め、プラスチックごみの問題に注目が集まりました。紙ストローなら、万が一海に流れてもウミガメを始めとして、海の生物を傷つける可能性は少ないです。ストローは細長い形状ですから、海に流れ出ると生物の体を傷つける可能性が高く、そういう意味ではカップより危険性は高いのです。スターバックスがカップより先にストローを全面紙製にしたというのも、良い判断だと言えるでしょう」(同)

 スターバックスによると、今回提供されることになる紙ストローは、強度や耐久性を高めたものだというから、従来のものより口触りや溶けやすさが改善されていることが期待できる。

「今飲んでいるフラペチーノと苦しんでいるウミガメは、すぐに結びつかないかもしれません。紙ストローが不便だと思う気持ちもよく分かりますが、回り回って海の生き物を守ることに繋がっています。反発の声が予想される中でも、スターバックスという大きな企業が全面紙ストロー化したということは、それだけプラスチックごみの問題が深刻だということです。紙ストローを使う時には、世界中で取り組んでいるこのプラスチックの問題に、自分が少しでも関わっているんだということを感じてもらいたいと思います」(同)

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