デルタ株「空気感染」の防ぎ方 感染した場合の備蓄品リスト、要介護者がいる場合の対策は
ワクチン難民がズルなしで接種できる裏技
デルタ株から命を守る術をご紹介してきたが、最大の防衛策がワクチン接種であることは言うまでもない。
その効果を改めて寺嶋教授に説明していただくと、
「イギリスのデータでは、デルタ株に関して、ファイザー製ワクチンの発症予防効果が、初回接種後は30・7%、2回目の接種後には、88・0%と出ています。また、アメリカのデータでは、デルタ株とアルファ株とを合わせた数字ですが、ファイザー製の2回接種後の感染予防効果は76%、入院予防効果が85%。モデルナ製でもそれぞれ86%、92%となっています」
すなわち、どちらのワクチンでも感染、発症、入院すべての予防効果が大きく、1回の接種より2回接種した方が大幅に効果は上がる。
「やはりデルタ株といえども、ワクチン効果は高く、しっかりと2回打つことが最善の予防策」(同)
しかし問題は日本において接種がなかなか進んでいないことだ。8月下旬の時点で、高齢者こそ9割近くが2回の接種を終えているが、国民全体で見れば初回の接種ですら半数程度。住んでいる自治体で予約が取れない「難民」も続出しているのは周知の通りである。
しかし、そんな方々が合法的に前倒しして接種できる“技”――。
スマホやパソコンで、例えば、「ワクチン+キャンセル+クリニック」などのキーワードで検索すると、さまざまな医療機関のキャンセル待ちフォームのページがヒットするはずだ。
「個別接種を行っているクリニックでは、毎日、少なからぬ数の予約キャンセルが出ています」
と解説するのは、さる医療ジャーナリスト。
「当日、体調が優れないとか、用事ができた、受けるのが怖くなったなどの理由で姿を見せない人が結構いる。が、例えばファイザーのワクチンは解凍、希釈してしまえば6時間ほどしかもちませんから、その時間内に打たなければ無駄になってしまいます。クリニックの中には廃棄を防ぐため、こうしたキャンセルワクチンの接種希望者を予め募集しておき、キャンセルが出た時点で片っ端から連絡してすぐに来院できる人に接種を行っているのです」
急に出向かなければならないという難点はあるものの、朗報である。
また、通常、接種は住まいのある自治体で行われる。新宿区在住の方は、新宿の病院で接種するが、キャンセル待ちの場合は、居住自治体外の機関で受けてもOKのケースが多いという。
「こうしたキャンセルワクチンを、都道府県や市区町村が窓口となって希望者にマッチングしているところもある」(同)
こうしたフォームに複数、登録しておけば、接種が早まる可能性も高まる。
厚労省予防接種室の話。
「キャンセル接種は、余ったワクチンを無駄にしないための工夫の一環で、抜け駆けや違法行為ではありません。恐れることなく利用してください」
「ワクチン難民」はこうした「裏技」も一考すべきか。むろん強制はできないが、自らの命を守ることに繋がるのであるから。
[4/4ページ]