鳥貴族の新業態「トリキバーガー」の実力は 他社のチキンバーガーと比べると――

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もうひとつの「チキンバーガー」新業態

 チキンバーガーでは、今年5月29日にオープンした「ラッキーロッキーチキン」という店もある。こちらは「ロイヤルホスト」や「てんや」などを展開するロイヤルHDの新業態だ。

「看板商品はバターミルクフライドチキンバーガー。バターミルクフライドチキンというのは、バターミルクに漬け込んだチキンを揚げた料理で、米国で親しまれているそうです。これとフレッシュな野菜をサンドしたバーガーで勝負に出たわけですが、価格は500円となかなか強気です」(渡辺氏)

 こちらのバーガーはとにかく大きい。バンズのサイズはもちろん、はみ出たザクザクのチキンも目を引く。トリキとモスを梯子してきた胃袋にはやや重いが、キャベツとパクチー、イタリアンパセリが刻まれた野菜がかなり個性的で、ココでしか食べられない味であることはわかる。逆に言えば、ドリンクとポテトをセットにすると計800円になる価格を許せるかどうかは、この「個性的な味」に価値を見出せるかによるだろう。

 今回は検証の余裕がなかったが、「焼肉ライク」を運営するダイニングイノベーションが今年7月20日に代官山にオープンした「Doo Wop」というチキンバーガー専門店もある。今後さらに増えそうな業態ではあるが、渡辺氏はどう見るか。

「ファストフードを事業として成功させるためには、フランチャイズ(FC)展開が肝になります。トリキバーガーは3年間で10~20の直営店出店を目標としており、その後はFCも視野に入れているそうですが、私の予想ではマクドナルド、モスバーガー、KFCという店舗数1000店以上の牙城を崩すのは相当厳しい。他の店には、チキンバーガー以外のメニューを選べる楽しさもありますからね。ラッキーロッキーチキン等も、チキンバーガー市場が思惑通りに成長すれば……という前提があるような気がします」

適掃夫(てき・ぱきお)
都内に住む30代サラリーマン。小学生のとき、母親の手伝いで料理に目覚め、兄の夜食を作るようになる。大学時代にはカジュアルイタリアンの厨房でアルバイト。就職後は自炊することがなかったが、3年前にアーティストとして働く妻と結婚して家事全般を担当。猛スピードで掃除洗濯をこなす様子から妻に「テキパキオ」と名付けられる。PB食品の食べ比べがスーパーの売り場徘徊が趣味。蛇口とシンクを磨くのが好きで、行きつけの飲み屋の閉店作業に加わりがち。ツイッターは「@tekipakio」

渡辺広明(わたなべ・ひろあき)
流通アナリスト。株式会社ローソンに22年間勤務し、店長、スーパーバイザー、バイヤーなどを経験。現在は商品開発・営業・マーケティング・顧問・コンサル業務など幅広く活動中。フジテレビ『FNN Live News α』レギュラーコメンテーター、デイリースポーツ紙にて「最新流通論」を連載中。

2021年8月24日掲載

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