内閣支持率30%割れで安倍チルドレンの悲鳴 それでも自民党総裁選「党員投票なし」を画策する人々

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総選挙の危機感

 更に11日には自民党の新潟県連が、総裁選に関する申し入れ書を二階俊博幹事長(82)に提出した。こちらも「総裁選を総選挙の前に実施し、総選挙では党員の投票も行う」という内容だった。

 現在、当選3回以下の自民党議員は、いわゆる“安倍チルドレン”と呼ばれる。政治アナリストの伊藤惇夫氏は、「“チルドレン”が総選挙に危機感を持っている」と指摘する。

「自民党に所属する国会議員のうち、約4割が安倍チルドレンです。政策や人柄が地元の有権者に評価されたわけではなく、単に“安倍一強”の恩恵で当選した議員です。良くも悪くも、彼らは“選挙の顔”に敏感です。菅首相で総選挙を行うと、自分たちは落選する可能性があると考えているのです」

 自民党の公式サイトを見ると、2012年に行われた総裁選では、国会議員は198票、党員票は300票を基礎票とし、更に159票を投票者数に応じて全国の都道府県連に配分すると規定していることが分かる。

「2000年、首相だった小渕恵三さん(1937~2000)が在任中に急逝しました。後継を急いで決める必要から、自民党所属の国会議員による話し合いで森喜朗さん(84)が総裁に選出され、そのまま首相となりました。このように歴史を振り返ると、党員を含む投票が実施されない総裁選もあったことが分かります」(同・政治記者)

小泉ブーム

 こうした“民意=党員”の意向を反映していない選出方法で選ばれた“首相=総裁”は、有権者の支持を得られないという過去もある。

「森首相は『神の国発言』や『えひめ丸沈没事故』の危機管理などを巡って批判が続出。最終的には内閣支持率が一桁台となりました」(前出の政治記者)

 2001年7月には参院選が予定されていた。自民党内から「森首相では参院選を戦えない」という声が公然と出るようになり、森氏は同年4月に首相を辞任した。

「2001年の総裁選は、党員を含む“フルスペック”で行われました。なおかつ、この選挙から党員票の割合が高くなっていたのです。橋本龍太郎さん(1937~2006)や小泉純一郎さん(79)などが立候補。当初、橋本さんが有利と言われていましたが、小泉さんは地方の遊説で旋風を巻き起こし、国会議員が投票する前に“当確”が報道されるほどの人気でした」(同・政治記者)

 小泉内閣は高い支持率を維持した。こうした経緯があることから、自民党の若手や党員は「フルスペックによる総裁選」を要望しているわけだ。

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