「中村アン」に知ってほしい住宅ローン「アルヒ」の“犯罪” 「なんちゃって」物件と契約者の収入額改竄

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「フラット35」と「アプラス」

 中村アンがCMキャラクターを務める住宅ローン専門金融機関、「アルヒ」。そのHPでは〈大切な「ある日」が最高のものとなるようにお手伝いします〉と標榜している。だが実際は、「ある日」突然、お客さまを破産に追い込む金融機関との批判が絶えないのだ。

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 アルヒへの集団訴訟を準備中の加藤博太郎弁護士によると、

「アルヒを窓口に詐欺的ローンを組まされ、経済的窮地に立たされる被害者が続出しています。私のもとには28人の被害者が相談に来ていますが(※2020年2月時点)、大半は年収が300万円に満たない20代の若者。うち2人については、自己破産の申し立てを進めるしかない状況です」

 被害事例は、いずれもアルヒが仲介する固定金利型住宅ローンの「フラット35」と信販会社「アプラス」の不動産投資ローンの二つに分けられる。

年収ゼロなのに

 そもそも、「住宅金融支援機構」のフラット35は「居住目的」でないと融資を受けられない。そのため、本来は「投資目的」なのに「居住目的」と偽った物件を不動産業界では俗に「なんちゃって」と呼ぶ。都内にある中堅不動産会社の幹部によれば、

「ここ2年ほどで130のフラット35対象物件を扱い、アルヒに回したその全物件がなんちゃってでした。購入者は総じて、多重債務者。民間金融機関より高金利なのに、わざわざフラット35を利用する理由は審査が甘く、貧困ビジネスに利用できるからです」

 このフラット35と同時に不正利用の舞台装置になったのは、アルヒが仲介するアプラスの不動産投資ローンだ。無収入の女性が、書類を改竄されたうえに騙され、法外な値段でマンションを買わされた例もある。見たこともない会社名の源泉徴収票が添付され、ゼロであるはずの年収が562万円になっていたという。

 多重債務者や無収入の人間が不動産を購入しようとすること自体無理があるとはいえ、その弱みに付け込む企業のモラルも問われてしかるべきである。

週刊新潮」2020年3月5日号「MONEY」欄の有料版では、アルヒを窓口に詐欺的ローンを組まされた事例を詳報する。

週刊新潮 2020年3月5日号掲載

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