メダルを狙う女子レスラー 川井友香子、土性沙羅、皆川博恵が語る“五輪への決意”

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 リオデジャネイロ五輪(2016年)では4つの金メダルとひとつの銀メダルに沸いた女子レスリング。中でも伊調馨、登坂絵莉、土性沙羅の三人が土壇場の大逆転で金メダルに輝いた。あの盛り上がりから5年。東京五輪に出場する残る三人の「大和撫子レスラー」を紹介する。

【女子62キロ級(8月3、4日) 川井友香子(23)=ジャパンビバレッジ】

 リオ五輪王者である川井梨紗子の妹。三人姉妹の真ん中。母(初枝さん)は子供教室(金沢ジュニアレスリング)の指導者。「妹も姉も道場に行ってしまって一人留守番させられて、母がかまってくれないので私も通いだしました」がレスリングを始めたきっかけ。活発だった姉とは違い、刺しゅうなど女の子らしい遊びが好きだった。しかし「負けん気が強く、レスリングは自分に合ってたのかな」と振り返る。

 石川県出身、津幡中学3年の時、ジュニアクイーンズカップで優勝。姉の後を追うように至学館高校、至学館大学へ。2017年の世界選手権に初出場し8位。18年は2位と力をつけた。そして、2019年9月のカザフスタンの世界選手権。一足早く五輪代表を決め、優勝もした姉の梨紗子がスタンドから母初枝さんとともに声をからして応援していた。激戦の末に友香子は3位に入り五輪を決めた。

 試合終了後、歓喜の涙で姉と抱き合う姿を目前で見たが感動的だった。前日に友香子は、三回戦でキルギスの選手に逆転フォール負けして敗れ、会見でもショックで床に崩れ落ちていたが、敗者復活戦から必死で勝ち上がっていた。「姉妹でオリンピック」の夢をかなえた瞬間だった。姉妹での五輪出場は北京五輪(2008年)での伊調千春・馨以来だ。

 三人でお祝いのケーキを買ってホテルで食べたが「ケーキはすごく甘くて大きすぎて食べきれなかった」(友香子)とか。

 そこからは、コロナでの東京五輪延期で長い。「最後の国際試合は昨年2月のアジア選手権です」とちょっと不安そうだ。しかし姉の梨紗子は「延期は友香子には絶対によかった。その間に体も大きくなって力もついたし」と語っている。友香子は「延期がよかったなんて言ってはいけないのかもしれないけど、周りから大きくなったとか力がついたって言われます」と満更でもなさそう。

「2013年に東京五輪が決定した頃は自分が関係するとは思っていなかった。意識し出したのは姉が金メダリストになった頃から」という。姉ほどの天性の運動神経はなくとも地道な努力で妹はメキメキ力をつけ、「姉妹でオリンピック」はいつしか「姉妹で金メダル」に変わった。「梨紗子の練習を見ていて、タックルに入る前の組手が大事と思い、今までは相手の外側から腕を取ったけど内側から取って攻めていけるようになった」。

 最近、姉と一緒にペットショップで可愛い犬を見つけて金沢市の実家で飼っている。「前からいる犬はキナコ、新しい犬はアンコにしました」。

 2年前の世界選手権について「負けてまた翌日に試合するなんて経験がなかった。母と姉がいてくれたけど一人なら立ち直れなかった」と振り返る。

 東京五輪ではあの時とは出場の順番が姉妹で逆になる。「私が勝って梨紗子に繋げたい」。

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