金が至上命令の「侍ジャパン」 アマ球界も五輪“野球復活”に熱心だった日本の特殊事情

スポーツ 野球 2021年07月28日

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共通の課題「野球人口減少」

 そうして野球界全体に還元されるのは、お金ばかりではない。大人の事情で“プロアマの壁”はなかなかなくならない一方、両者には共通の課題がある。野球人口減少だ。中体連(中学の部活動)の加盟者がこの10年で3分の2以下になるなど深刻な事態に効果的な手を打てない現在、稲葉監督は東京五輪の意義についてこう考えている。

「野球はこれまで皆さんが非常に注目してくれてきました。野球の競技者人口がどんどん減っているなか、少しでもこのオリンピックが野球に興味を持ったり、野球を始めるきっかけになってくれたりする大会になればいいと思います」

 東京五輪の後、2024年パリ大会で野球は再び除外される。2028年にはロサンゼルス大会があるが、IOCが採用競技の条件に若者人気を重視していることや、MLBの協力を得るのは一筋縄でいかないことを考えると、今回が最後のオリンピックになる可能性も少なくない。

 果たして、そうした舞台で侍ジャパンは使命を果たすことができるか。グラウンド外の視点も持つと、日本代表を応援する気持ちは一層強くなるかもしれない。

中島大輔
1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年からセルティックの中村俊輔を4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

デイリー新潮取材班編集

2021年7月28日掲載

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