「小山田圭吾」最大の疑問 当時24歳の立派な大人がなぜ平然とイジメ自慢をしたのか?

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芸術家は大悪人!?

 「ゲミュートローゼ」について片田氏は「鋼鉄のように意志が強く、他人の屍を越えてすら進むことができる」側面もあると指摘する。

「意志の強さは、実業家や政治家だけでなく、芸術家にも求められる資質でしょう。ただ、鋼鉄のような意志の持ち主は、自分が成功への階段を上っていくうえで重要だと思う相手には、非常に丁寧に対応するという側面もあるのです。おそらく小山田さんと仕事を共にした方々は、彼に好印象を抱いたのではないでしょうか」(同・片田氏)

 その一方で、異常なほど冷酷になる場合もある。罪悪感も全く覚えない。その結果が4誌のインタビュー内容というわけだ。

「私は小山田さんの行為を擁護するつもりは全くありません。辞任は当然だと思っています。とはいえ、作曲家の三枝成彰さん(79)が『大作曲家たちの履歴書(下)』(中公文庫)で指摘されたように、『偉大なアーティストになるには大悪人でなければならない』のも、また一面の真実です。約束は守らない。金銭関係や女性関係にだらしがない。まさに“人間失格”な人々が、私たちの魂を揺さぶる素晴らしい芸術作品を生み出してきたという歴史もあるのです」(同・片田氏)

“天才と狂気は紙一重”

 片田氏が続ける。

「精神医学には『病跡学』という分野があります。偉大な作家や芸術家などの『創造の秘密』を精神医学的視点から研究するのですが、天才的な人ほど、往々にして偏った人格の持ち主だったり、心の病を抱えていたりすることが『病跡学』で明らかになっています。だからこそ『天才と狂気は紙一重』という言葉があるのでしょう。小山田さんが天才かどうか、私には分かりません。ただ、サディストであると同時に『ゲミュートローゼ』であり、『大悪人』のように見えるので、少なくとも『偉大なアーティスト』になりうる素質だけは持っているのではないでしょうか」(同・片田氏)

 東京五輪では多くのアーティストに“不祥事”が発覚し、呪われた五輪と言われてきた。片田氏は「叩けば埃が出るような人でなければ、『偉大なアーティスト』にはなれないのかもしれません」と指摘する。

 片田氏は小山田の発言から、【1:未熟なヤンチャ自慢】、【2:強い特権意識】、【3:想像力の欠如】を感じ取ったという。

特権意識と想像力

「小山田さんは、なかなかデビューできず、“苦節10年”といった辛酸をなめたわけではありません。若くして才能を認められ、あっという間にアルバムをリリース。スターの座に駆けあがりました。こういう人は強い特権意識を持ち、未熟なまま年を重ねてしまうことがしばしばあります」(同・片田氏)

 確かに小山田のインタビュー記事から、24歳という年齢に相応しい“大人の分別”を読み取ることはできない。

「似たタイプに俳優の伊藤健太郎さん(24)を挙げることができます。彼も瞬く間にスターとなりました。彼が起こしたひき逃げ事件からは、『自分は特別な人間だから、少々のことなら許される』という特権意識が垣間見えました」(同・片田氏)

 政治家なら、その発言が批判を集めた西村康稔・経済再生相(58)にも、ゆがんだ特権意識が見て取れるという。

「西村大臣は有名な進学校の灘高校から東大法学部に進み、当時の通産省におけるキャリア官僚を経て、国会議員になりました。大臣の『言うことを聞かない飲食店は金融機関を通じて締めつける』という趣旨の発言は、まさに彼の特権意識から生まれたものでしょう」(同・片田氏)

 ゆがんだ特権意識は、【3】想像力の欠如も生む。

「小山田さんには、『このインタビュー記事が掲載されたら、どんな反響があるだろうか』という想像力が欠如していました。西村大臣も国民の反発を全く予想できていませんでした。元政治家の豊田真由子さん(46)も似ています。あんな暴言を吐き続ければ、いつかはマスコミにバレてしまうのは、ちょっと考えれば分かりそうなものです。その可能性に想像力を働かせることができなかったのは、彼女の特権意識が強かったからでしょう」

デイリー新潮取材班

2021年7月23日掲載

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