警視庁捜査で分かった老舗「かっぱ寿司」の落日 「スシロー」「くら寿司」の二強時代へ

ビジネス 企業・業界 2021年7月12日掲載

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低価格路線の失敗

 スシロー側が「敵とは組めない」と明言する事態となり、ゼンショーは撤退せざるを得なくなる。翌08年には、かっぱ寿司との提携を解消。大手回転寿司チェーンを一気に統合するというプランは水泡に帰した。

 これまで「1位・かっぱ寿司、2位・スシロー、3位・くら寿司」という順位だったが、2012年に変化が生じたとマスコミ各社が報じた。1位がスシローとなり、かっぱ寿司は2位に陥落したのだ。

「12年11月に衆議院が解散され、自民党が政権を奪取します。『アベノミクス』という言葉が流行語になり、消費者が高級志向にシフトしました。ところが、かっぱ寿司は相変わらずの低価格路線で、消費者の心を掴むことができません。一方のスシローは原価率が50%と、外食業界では異例の高品質路線を選択しました。美味しい寿司をできるだけ安く販売するという姿勢は一貫していたので、どんどんリピーターを増やしていきました」(前出の関係者)

 この2社を追っていたくら寿司は、12年11月に醤油ラーメンをヒットさせる。13年には天丼にも挑戦し、これも成功を収めた。

 くら寿司のファンは、品揃えが好きという人も多いだろう。回転寿司というよりファミレスに近い。うな丼にラーメンにうどん。ポテトフライや唐揚げもある。スイーツも豊富だし、カフェラテまで用意されている。同社が商機を掴んだ原点は、やはり12年だったのだろう。

スシローとの差

「12年という年は、回転寿司業界の“分岐点”だったのかもしれません。この後のかっぱ寿司は不振ばかりが報じられるようになります。13年には米穀卸の大手と資本提携を結び、栃木県に本社のある元気寿司との合併を目指します。もし実現すれば、売上高でスシローを抜き、再び業界1位に返り咲くと話題になりました。ところが、かっぱ寿司の赤字額が大きいことなどから話が進まず、結局は破談となるのです」(前出の記者)

 最終的には焼肉店「牛角」などを運営するコロワイドが14年にカッパ・クリエイトを買収して傘下に収めた。

「不振にあえぐかっぱ寿司を横目に、スシローは15年、JALの再建も手がけた“プロ経営者”の水留浩一氏(53)を社長に迎え入れます。水留さんの経営手腕は、今般のコロナ禍でも話題になりました。回転寿司の業界では、いち早くテイクアウトに全力を注いだのです。結果、見事に巣ごもり需要を掘り起こし、業界最大手としてますます売上を伸ばしました。くら寿司はテイクアウトへのシフトが遅れ、店舗売上げの減少に悩まされたのとは対照的でした」(同・記者)

 そして、かっぱ寿司は、くら寿司と、はま寿司にも抜かれて、現在4位とも報道されている。赤字に悩まされているのは冒頭で触れた通りだ。

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