ジャニー喜多川氏の死から2年 退所やグループ解散が続く中で改めて“遺したもの”について考える

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 ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏が87歳で亡くなって今日でちょうど2年が経つ。偉大な創業者の死は組織やタレントにどのような変化をもたらしたのか。退所やグループの解散、“ジャニーズJr.22歳定年制”と呼ばれる制度の導入など、創業者亡き後、変化を感じさせるような出来事が相次いだが、「最初の1年と、直近の1年では変化の性質が違う」と、霜田明寛氏は指摘する。以下では、『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)の著書がある霜田氏の解説で、ジャニー喜多川が遺したものについて辿る(文中敬称略)。

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新たな人生の決断をした

 あの日から今日で2年が経った。

 最初の1年より次の1年のほうが、ファンに与えた変化の印象は大きかったように思う。

 亡くなってから最初の1年は、社長の交代や体制の変更などが目立ったが、この1年に起こったことはタレントたちの人生に関することが多かったからだ。

 特に長瀬智也の退所とTOKIOのジャニーズ傘下での“会社化”、森田剛の退所とV6の解散の発表、錦織一清と植草克秀の退所と少年隊の活動休止などが大きなニュースとなった。

 これらのニュースには「ジャニーズ事務所崩壊の序章」などと書き立てるメディアもあった。だが、彼らは皆40~50代であり、グループとしても25~40年近いキャリアのある人たちである。大人たちが、自分の頭で考えて、新たな人生の決断をした――と捉えるほうが自然ではないだろうか。

 自分の頭で考える――これは、ベテランから若手まで、ジャニーズ事務所のタレントたちに貫かれた、ジャニー喜多川の教えでもある。

 ジャニーが生前最後に送り出したデビューグループ・King&Princeの平野紫耀は「自分たちで考えてやりたいことをやりなさい」という言葉をジャニー喜多川から託されたという。(non-no2021年July)

 同じKing&Princeの神宮寺勇太も「普通に考えれば、新人には口出しできないことがあって当然だと思うんですけど、うちの場合はジャニーさんの教えもあって最初から『しっかり自分の意見を言う』ということをしていました」と語っている(日経エンタテインメント!2021年6月号)

 その証拠に、彼らの最新曲はおよそ“ジャニーズらしさ”からは離れた、全編英語詞の重めのヒップホップチューンである。

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