京急運転士殺害、法廷で明かされた女性車掌との三角関係 フラれた直後に男性をメッタ刺しに

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 日本の鉄道ダイヤは世界一正確と称される。安全運行を支える運転士や車掌、駅員らによる努力の結晶だが、この事件の当事者となった鉄道員たちの運命はもつれて乱れ、決して元の軌道に戻ることはなかった。

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 6月16日、横浜地裁で行われた刑事事件の判決公判で、京浜急行の元運転士・吉沢弘紀被告(30)に対して殺人などの罪で懲役14年の実刑が下った。殺害された被害者男性(31)が加害者と同じ鉄道会社の運転士だったことで注目を集めたこの事件。判決理由を述べた裁判長は、被告が殺害した男性の心臓を刃物で貫いたことは「強い殺意が認められる」と指弾する一方、動機に男女関係のトラブルがあったことを示唆した。

 裁判を傍聴していたウォッチャーはこう振り返る。

「昨年7月、吉沢被告は交際中の20代女性から別れを告げられた後、現場となった横浜市内にある彼女の自宅を訪れ、郵便受けの隙間から男と情事に及んでいるところを目撃します」

 激昂した吉沢被告は、消火器で窓を突き破り部屋へと侵入。台所の包丁を手に取って被害者男性をメッタ刺しにしたという。しかも、である。裁判で明らかになったのは、当時この女性が被告や被害者と同じ職場で車掌を務めていた事実だ。

「彼女は被害者および加害者双方と交際して三角関係の状態にあり、裁判では彼女が書いた“告白されたら好きになっちゃう”といったSNSの文面が紹介され、異性との交際に積極的な様子も窺えました」(同)

 そんな彼女は嫉妬深い吉沢被告を嫌い、被害者男性に相談。悩みを聞いた彼は、彼女になりすまし別れを告げるメールを送ったとされる。裁判長は先の判決の理由を述べる中で、この行為が「(加害者の)強い怒りを招くと想像され、(被害者に)落ち度が皆無とは言いがたい」として、検察が求刑した懲役18年を退けたのだ。

 だが、亡くなった男性運転士を知る京急関係者は、

「殺された側にも非があるような判決で、彼の無念は如何ばかりか……。鉄道好きが高じて仕事に打ち込むような男でしたから、久々に彼女ができたと喜び、自分が本命の彼氏だと信じ込んでいた。片や同じ職場の人間たちには、彼女が以前から吉沢被告と交際し、亡くなった彼にもいい顔をして二人を天秤にかけているように見えた。彼女は自分も被害者だと言って仕事を続けているようですが、なんともやり切れません」

 鉄道ジャーナリストの枝久保達也氏に言わせると、

「労働基準法では1999年まで女性への保護規定があり、深夜の泊まり込みがある鉄道現場では基本的に働けませんでしたが、規定撤廃後、ここ10年くらいは鉄道各社で女性乗務員が増える傾向にあります」

 とはいえ、京急における駅員や乗務員などの現業社員2323名中、女性はわずか140名(京急広報)にすぎない。元来、男社会だった鉄道業界では紅一点となりがちというが、乗客の命を預かる仕事だけに、かような凶行が再び起こるのだけは御免である。

週刊新潮 2021年7月8日号掲載

ワイド特集「負けられない戦い」より

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