アメリカで“ウォシュレット”がバカ売れの理由 前年度比8割増、ライバルは中国製の格安商品

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 日本の一般家庭での温水洗浄便座の普及率は8割。その点、アメリカは後進国だね、なんて思っていたら、最近、様子が違うらしい。斯界の雄たるTOTOによると、

「日本で皆さまがよく使ってくださる“ウォシュレット”は弊社製品の商標登録名でありまして、アメリカでは一般的に“ビデ”と称されます。これが販売好調で、2020年度は前年度比8割増の売行きでした」

 ほぉ、これまたなぜ?

「コロナ禍で昨年、アメリカでもトイレットぺーパーが一時期不足して、ビデが注目されたわけですね」

 昨年4月上旬には、かのニューヨーク・タイムズ紙が「時代はビデだ」と唱える記事を掲載。ウォール・ストリート・ジャーナル紙もビデの効用を取り上げ、TOTOの米国法人サイトのアクセスが急増。アマゾンの商品検索ワードで「ビデ」が20位以内に入るなど、一躍注目アイテムに。ただし、

「実は17年から販路拡大に努めてきたことが大きい」

 とTOTOは言う。同社は1986年からアメリカでウォシュレットを売り始めたが、販売は水まわりの施工業者、つまり工務店が主に担っていた。それが17年以降、コストコやアマゾンなどでも取り扱いを始めたという。

「日本を訪れて“これが欲しい”と思って国に帰りながら、どこで買えるかわからず断念といった方が随分減ったと思われます。また19年にはSNSを使った広告や店頭での販促も積極的に展開。販売台数は15年から19年までの4年で倍増する形となりました」(同)

 そこへ加えて今般のコロナ禍で、一時は品薄にもなったそう。結果、15年からの5年で販売台数は約4倍に。とはいえライバルも。

「中国製の格安の商品です。電気を使わずにただ水圧だけで洗うもので、邦貨換算で1万円程度で買えます。その点、弊社製品は電動で、数万円はします」(同)

 かなり不利に映るけれど、

「アメリカでもっとも商品が売れるのはクリスマスを控えた年末商戦で、ちょうど寒い時期にあたるせいもあり、どうせ買うなら暖房便座で温水も出る製品を、と当社のものを多くの方が選んでくださっているんです。アメリカの戸建ての家はトイレが客室用や子供部屋用など四つぐらいあるのが普通。試しに一つ導入して満足したから他の部屋用にも買ってみようかというご判断をいただくなど、さらなる売り上げの伸びを期待しています」(同)

 久々に「日本製快進撃」の嬉しい報を聞いたか。

週刊新潮 2021年7月1日号掲載

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