90歳になった池袋暴走「飯塚幸三」被告 有罪確定でも刑務所に入らない可能性

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刑務所は不安視?

「6月22日に放送された『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ制作・日本テレビ系列・平日・13:55)でも裁判の模様が伝えられました。コメンテーターとして出演していた中央大学法科大学院教授で弁護士の野村修也氏(59)は、たとえ飯塚被告に対する実刑判決が確定したとしても、高齢により収監されない可能性があると指摘しました」(担当記者)

 なぜ収監されない可能性があるのかと言えば、冒頭でご紹介した刑事訴訟法の第482条で《著しく健康を害するとき》や《年齢70年以上であるとき》と定められているからだ。元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝氏が言う。

「実刑が確定した被告人を収監するかどうか決定するのは検察庁です。刑事訴訟法には《年齢70年以上》と書かれていますが、近年は元気な高齢者が増えています。刑事裁判の現場でも同じです。今では80代でも収監されるケースは珍しくありません。実質的に《年齢70年以上》の事由は有名無実化しつつあると言えるでしょう」

 だが飯塚被告は70歳どころではない。1931(昭和6)年の生まれで90歳。柳条湖事件が起き、満州事変が勃発した年だ。

 刑務所は、行進で移動したり、工場で作業したり、という日課がある。【1】の《刑の執行によって、著しく健康を害する》可能性について議論になるかもしれない。

実刑判決の可能性

「2019年の実況見分で、飯塚被告は杖をついていました。公判にも車椅子で出廷しています。法廷戦術の一環として、高齢を強くアピールしているのかもしれません。しかし、あれが本当の健康状態だとすれば、特に現場の刑務官から『収監は難しい』という意見が出る可能性はあると思います」(同・若狭氏)

 裁判が行われた21日、トヨタ自動車は「車両に異常や技術的な問題は認められなかった」とコメントを出した。飯塚被告が法廷で車の欠陥を指摘し続けるため、反論を行ったのだ。

 はっきり言えば、真相の解明は終わっている。世間は、どんな判決が出るか、いつ刑が確定するか、という問題に関心があるはずだ。

「あくまでも最短という前提でお話すると、今年の秋に一審の判決が下れば、最高裁で確定判決が下るのは、それから1年半後というところでしょう。飯塚被告の90歳という年齢を考えると、今後、健康状態が良くなる可能性はゼロと言っていいでしょう」(同・若狭氏)

 そもそも飯塚被告は、高齢などを理由に逮捕を免れた。現在でも在宅のまま、刑事裁判が進行している。最高裁の判決が出る日まで、彼が拘置所に留置されることはない。これを世論は「上級国民」と強く反発してきた。

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