韓国政府は「五輪ボイコット」を叫ぶものの… 高まる日本旅行熱で「国民のほとんどは無関心」

国際 韓国・北朝鮮

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 またもや韓国が「東京五輪ボイコット」を声高に叫び始めた。東京五輪・パラリンピック組織委員会のホームページにある日本地図で、韓国が領有を主張する竹島(島根県)が掲載されているのはけしからん。“削除しないと選手団を派遣しない”と息巻いているのだ。

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 韓国の難くせ、横やり、誹謗中傷は毎度のこととはいえ、コロナ禍にあえぐ日本からすればもうげんなり。「いっそのこと東京五輪に来なくていい」という声も聞こえてくる。御承知の通り、韓国にはプロというべき反日活動家がごまんといる。その一人が、ソウルにある誠信女子大学教授の徐敬徳(ソキョンドク)氏で、ターゲットは「慰安婦問題」や「竹島問題」など多岐にわたる。

 韓国の「広報専門家」を自称する彼は、日本の旭日旗がナチスの旗と同じ人類の敵で、この世から抹殺すべしと、世界中のポスターなどに目を光らせてきた。ロゴであろうがスポーツ選手の入れ墨であろうが何でもかんでも噛みついては、謝罪を求める。あまりに執拗な執着心の矛先が、五輪へと向かうのは必然だった。

 韓国紙によると、徐教授は2019年ごろに件の地図に竹島が掲載されていると気づき、韓国外交部を通じて日本政府に削除を要求したという。先月下旬、再び彼が「削除するようにIOC(国際オリンピック委員会)にメールを送った」と蒸し返すや、文在寅(ムンジェイン)政権で首相を務めた丁世均(チョンセギュン)氏が、自身のフェイスブックで「日本が最後まで削除を拒否するなら、『五輪不参加』の手段を総動員しなければならない」と檄を飛ばし、同じく首相経験者で与党「共に民主党」前代表の李洛淵(イナギョン)氏も同調した。

 しまいには与党だけでなく野党「国民の力」まで加わり、ボイコットを求める大合唱が起きた挙句、今月に入って韓国外交部が日本大使館に抗議。文化体育観光部などがIOCに仲裁を要請するなど一挙拡大の動きを見せている。

 もちろん、彼らが反日を唱える時は、さまざまな思惑が絡んでいるのは言うまでもない。注目すべきは、先陣を切ってボイコットを表明したのが文政権を支えてきた重鎮たちで、大統領の座を狙う立場にいることだ。

 韓国紙の政治記者が言う。

「すでに韓国では、来年3月に予定されている大統領選に向けたレースが始まっています。今月末に政権与党で大統領候補の受付が始まり、来月から選挙運動が本格化して9月には与党候補が決まる。片や世論調査は、文大統領が“いうことをきかない”とイジメぬいた尹錫悦(ユンソクヨル)・前検事総長が出馬すれば、与党候補は負けるとの結果が支配的です」

 現在、与党で出馬表明しているのは7人。そのうち次期大統領候補として最も高い支持率を誇るのは、李在明(イジェミョン)・京畿道知事で24%。2位で続くのが、前出の李洛淵・元首相の5%、その次が丁世均・前首相で1%(4日、韓国ギャラップ)とトップとの差は歴然だ。

 支持率1位の李在明知事は強面の反日主義者で知られ、「日本は敵性国だ」などの過激発言を要所で放つ。追う二人が反日強硬派の支持を集めて逆転するには、「五輪ボイコット」という過激な反日姿勢に出ざるを得なかったというわけだ。

 奇しくも「反日」が選挙において多大な成果をあげると実証したのは、目下のところ大統領候補選で劣勢に立つ李洛淵氏の方だった。

 韓国のオピニオン誌「月刊朝鮮」が、「反日キャンペーンで支持率反騰」と評した昨春の総選挙で彼は、「総選挙は韓日戦だ」と訴えた。当時の保守野党・未来統合党(現・国民の力)は「親日勢力」であり、自分たちは「反日義兵」だと選挙戦に対立軸を持ち込み、圧勝した。大統領候補選挙でも、“夢よ再び”を狙っているのは間違いない。

 振り返れば、8年前に東京五輪が開催されると決定して以降、韓国内では「大震災で放射能に汚染された土地に選手団を送るな」とのボイコット論が台頭した。

「放射能に汚染された食品を韓国選手の口に入れるな」「食材を韓国から空輸すべきだ」などと騒ぎ立て、風評被害に苦しむ日本の世論から反発を受けてきた。

 ところが、米国でバイデン政権が発足すると五輪への態度は一変する。トランプ時代に実現した金正恩(キムジョンウン)との米朝会談、それに伴う南北首脳会談の再実現の目論見が風前の灯となるや、文政権は「東京五輪の開催に協力して、南北や米朝、日朝首脳の再会談を実現しよう」と豹変したのだ。

「安くなった日本」

 実は、そうした転向を文政権に進言したのは、李洛淵氏だった。

 過去、文政権の支持率で就任直後の84%に次いで高かったのが、18年春の南北首脳会談直後に記録した支持率83%。この高さは、北朝鮮暴走への韓国民の恐怖の裏返しもあるが、東京五輪を利用して南北首脳会談を再現することで、レームダックとなった文政権の“一発逆転”を狙ったのだ。

 そこで、朴智元(パクチウォン)・国家情報院長や金振杓(キムジンピョ)・韓日議員連盟会長らが相次いで訪日しては、菅政権に「東京五輪に金正恩を招待」などと持ちかけた。恥じらいもなく変節を繰り返す。涙ぐましい“自己中外交”を展開してきたわけだが、これも4月6日に北朝鮮が「東京五輪不参加」を表明したことで水泡に帰す。そして自らの選挙で劣勢となるや、「竹島問題」を引き合いに再びボイコットを叫ぶ。もはや開いた口が塞がらない。

 今回の「東京五輪ボイコット」で蒸し返された「竹島問題」とて、その責任は韓国にある。反日を掲げた李承晩(イスンマン)・初代大統領が、日本漁船を日本海から暴力的に締め出した置き土産として、竹島の帰属問題は生まれた。国交回復後、日韓両政府は「竹島問題」をアンタッチャブルにすることで折り合いをつけてきた。

 そのおかげで、1988年のソウル五輪開催にあたっては、日本が国際大会運営のノウハウを伝授しただけでなく、競技場やホテル建設に協力。成功に導く原動力となったが、その後の韓国が恩を仇で返してきたのは言うまでもない。

 民主化後、金泳三(キムヨンサム)大統領が再び「歴史の見直し」を叫び、突如として竹島に埠頭を設置し警備隊を常駐させた。日韓関係における暗黙の了解を一方的に破った結果、文氏が青瓦台秘書室長として仕えた左派の盧武鉉(ノムヒョン)大統領に至っては、「独島(竹島の韓国側呼称)ドクトリン」を打ち出し、“島は韓国のもの”という強固な国民感情を作りあげてしまった。

 左派である文政権の核心勢力は、韓国民主化の主役だった急進学生運動出身者が多い。思想的には北朝鮮の主体思想(金日成(キムイルソン)思想)の信奉者で、本来は韓国の“主敵”であるはずの北朝鮮にシンパシーを感じる一方で、日本には手厳しい。

 昨年5月の「読売新聞」と「韓国日報」の共同世論調査によれば、40代の対日感情が最も悪く、日本を「信頼できる」が8・5%しかない反面、「親しみを感じない」が14・7%と、反日の中核世代は40代であり、文政権の強固な支持層と重なる。彼らは韓国経済が飛躍的に成長するのとは対照的に、日本経済が沈滞化する時代に育っている。

 朝鮮戦争で世界最貧国となった韓国も、遂にはGDP(国内総生産)世界10位(韓国企画財政部発表)の経済大国化を果たした。確かに金額だけで見れば、大学卒の初任給や大企業の平均給与は日本の方が低いという報道は、数年前から韓国メディアで盛んに報じられてきた。

 一例として、東京では300円台で牛丼が食べられるが、ソウルではひと昔前は300円台だったカルビクッパが最近では千円以上もする。デフレに喘ぎ「安くなった日本」と、反日の土壌が肥大化していったのは表裏一体なのだ。

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