横浜市長選に「小此木大臣」が名乗り ダークホースは「ベイスターズ元社長」でカジノはどうなる?

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 日本初のカジノはどこにできるのか――。いま最も注目されているのが横浜市である。来たる8月22日の市長選で反対派市長が誕生すれば、林文子市長が舵を切った誘致計画が一転、白紙になりかねないからだ。告示まで2カ月を切ったが、賛成派・反対派、両陣営とも大混乱の様相となっている。これまでカジノ誘致で動いてきた自民党からは、国家公安委員長の小此木八郎氏(55)が誘致見直しの方向で出馬を検討。一方、反対派からは横浜ゆかりのあの経営者の名が……。

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コロナで予定が狂った

 2018年に制定されたIR(カジノを含む統合型リゾート)整備法により、日本で最初に設立されるIRは3カ所までとされた。現在、横浜市、大阪市、長崎県、和歌山県、愛知県などの自治体が名乗りを上げ、今年10月から始まる国への申請を経て、来年中には正式な認可が下りる予定だ。早ければ2020年代後半には開業されると言われている。

 中でもこれまで有力視されてきたのは、大阪市と横浜市であった。だが、横浜については昨年、国のスケジュールに変更が出たことで黄信号が灯り出した。国際カジノ研究所所長の木曽崇氏が解説する。

「当初、IR誘致を目指す自治体が国に提出する区域整備計画の申請の受付期間は、21年1月4日から7月30日の予定でした。しかし、コロナ禍の影響で自治体の作業に遅れが出てしまったため、21年10月1日から22年4月28日までと変更された。秋元司衆議院議員によるIR疑獄の影響もあったと言われています」

 なぜ、この9カ月間のズレで、横浜の認可が危うくなったのか。

「国への申請が始まる前に、横浜市長選が行われることになったからです。当初は、受付が始まると同時に市が区域整備計画を提出すれば、ギリギリで市長選の前に認可をもらえるスケジュールが組まれていました」(同前)

ギャンブル依存症への不安

 17年に3選を果たした林文子市長は、選挙中はIR誘致を「白紙」としていたが、19年8月に態度を一転させ、山下ふ頭を候補地として誘致すると正式表明した。それを受け、「ハマのドン」と呼ばれる横浜港ハーバーリゾート協会会長の藤木幸夫氏が猛反発。にわかに横浜はカジノ反対運動で燃え盛るようになった。だが、当初のスケジュールならば、市は強引に認可を進め、反対派を封じ込めることが可能だったというのだ。

 そもそも横浜は菅義偉首相のお膝元であり、IR誘致は首相肝の入り事案であった。3年くらい前までは、菅、林、藤木の3氏ともにカジノ賛成でタッグを組んでいたのだが、地元の実力者である藤木氏の“反乱”がきっかけで、一気に反対へと流れが変わった。

「やはり地元では、カジノができることで『ギャンブル依存症』が蔓延するのを一番不安視しています。昨年末、市民団体『カジノの是非を決める横浜市民の会』は、誘致の賛否を問う住民投票の実施を求めて、約19万筆の署名を集めました。結局、議会で住民投票条例案は否決されましたが、反対派の市民がかなりの数を占めることが明らかになりました」(横浜市関係者)

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