紙やプラスチックに代わる新素材「ライメックス」は環境に優しい? 「SDGs」の美名のもとで繰り広げられる法廷闘争

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〈容リ法違反〉

「SDGs(エスディージーズ)」関連のビジネスを手掛ける素材開発会社「TBM」は、紙やプラスチックの代替となる新素材「ライメックス」で急成長。目下、飛ぶ鳥を落とす勢いにあるTBMだが、“ライメックスは法律違反”と報じた環境系情報誌「オルタナ」を訴えた。いかなる経緯があったのか。

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 SDGsは「Sustainable Development Goals」(持続可能な開発目標)の略称で、2015年9月の国連サミットで採択された。貧困や環境問題、ジェンダー平等などに取り組み、30年までに持続可能でよりよい世界を目指すという。

 日本でも多くの企業がSDGsを掲げている。そのなかにあって、TBMは11年に設立されたばかりにもかかわらず、日経新聞による19年発表の「未上場スタートアップ企業」ランキングで推計企業価値1218億円の2位。翌20年も1233億円で3位を獲得した。

 ライメックスは、石灰石に樹脂を混ぜ合わせた新素材。紙とは違うから森林伐採の必要はなく、また、プラスチックとは異なるため、石油の枯渇を招くこともない。世界中に何千億トンと存在する石灰石が主原料とされる素材はSDGsにうってつけだった。

 右肩上がりの成長を続けるTBMに、昨年4月10日、突然の「爆弾」が投下された。環境系情報誌のオルタナが、ライメックスを使った一部のレジ袋について、その成分の検査結果を示し、容器包装リサイクル法(容リ法)違反の状態にあると報じたのだ。

6336万円の損害賠償

 看板商品を非合法呼ばわりされたTBMは、記事削除の仮処分を申し立てたうえで、今年4月5日、6336万円の損害賠償を求め、東京地裁への提訴に踏み切った。オルタナ記事によって、ライメックス製品の取引をキャンセルされたことが主な理由。むろん、ライメックスの成分の検査結果の正当性も争っている。

 TBMのコーポレート・コミュニケーション本部の担当者は、「ハナから“容リ法違反”が前提の記事作成が目的だったようにしか考えられません」と憤る。対するオルタナは、代理人弁護士を通じて「記事内容については、検査結果を含めて、綿密な取材に基づいており、自信を持っています」と、真っ向から対決する構えだ。

 SDGsの美名とは裏腹に、熾烈をきわめる法廷闘争となりそうだ。

週刊新潮」2021年6月17日号「MONEY」欄の有料版では、TBMとオルタナの論争と提訴までの経緯について詳報する。

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