日本による台湾へのワクチン無償提供に冷や水を浴びせる親中派教授 BS生放送で難クセ

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中国の膨張主義

 となれば、佐藤議員の言う「恩返し」も真実だというわけだ。

「朱教授の発言は、どこかで事実をベースにしているので、説得力があるように聞こえます。ところが、発言をよくよく精査してみると、やはり真実とは異なる点がたくさん出てくるのです。まさに中国共産党が得意とする論法です」(同・専門家)

 冷静に考えれば、日本がアストラゼネカ社のワクチンを購入したものの、使い道に困っていたのは、政策ミスと言えなくもない。

 更に日本は、ベトナムやマレーシア、スリランカにもワクチンの供与を検討している。ネット上では賛否を巡って熱心な議論が展開されているが、国民全体としての関心はそれほど高くない。

「本来であれば、日本の有権者は『ワクチンは貴重品だ。それを外国に提供するとは何をやっているんだ』と憤ってもおかしくないわけです。ところが台湾への供与が報じられると、大半が歓迎ムードで受け止めています。これは結局のところ、中国が国際社会のルールに従わない中国の膨張主義を、日本人が嫌気しているからです」(同・専門家)

 中国外務省の非難も、朱教授の指摘も、結局は日本や台湾の反発を買うだけという。

ナチスと習政権

「もし中国が『日本が供与したワクチンによって台湾の皆さんの健康が守られることを祈っています』と外務省を通じて声明を出したらどうだったでしょうか。台湾人だけでなく、日本人も、中国を見直したはずです。ところが中国も朱教授も、そうした度量を見せることは全くありません。結局のところ中国、特に中国共産党が問題なのだと、再認識させるだけなのです」(同・専門家)

 番組に出演した矢板明夫・産経新聞台北支局長に取材を依頼すると、「佐藤議員も、朱教授も決して間違ったことは仰っていません。ただ、お二人のお話を足すと真実が見えてくるのではないでしょうか」と言う。

「確かに今回の件が美談だけではないのは事実でしょう。習近平国家主席(67)は中国人の愛国主義に訴えることで権力基盤を固めてきました。そしてナショナリズムは“失地回復”が成し遂げられた際、最も劇的に高揚します。同じように中国のトップだった江沢民氏(9594)や胡錦涛氏(78)にはなかった点です」

 ちなみにナチス・ドイツも「第一次世界大戦の敗北で失われた領土の回復」を謳い、ドイツ国民の支持を受けたことはあまりにも有名だ。

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