日本による台湾へのワクチン無償提供に冷や水を浴びせる親中派教授 BS生放送で難クセ

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カットの理由

 恩返しというのは、台湾が東日本大震災や、コロナ禍で日本を支援したことを指す。前者で台湾は日本に約200億円とされる義援金を送り、後者は20年4月に200万枚のマスクを寄付した。

 また「スピード」については「運もあった」としながらも、アメリカより早く、つまり日本が世界で最も早くワクチンを台湾に届けられたことを高く評価した。

 これに中国の受け止めを訊かれた朱教授は、蔡政権が対中国の強硬政策を採っていることを《「1、2年間はそれでよかったとしても、最近は支持率がどんと下がっている》」と指摘した。

 それでも台湾を非難することはなく、《「来年は台湾の中間選挙ですから、見守っていきたいと思います》」と無難なコメントで締めた。

 ところが、である。生放送の番組を視聴していたメディア関係者は、「この動画では重要な点がカットされています」と指摘する。

「朱教授は、佐藤議員の『恩返し』発言に異を唱えました。震災時、台湾から送られた義援金の多くは台湾の日本企業が送ったものであると指摘。更に、中国の通信機器メーカーのファーウェイも日本に義援金を送ったが、アメリカが行っている不当なファーウェイ排斥に日本政府は協力していると非難したのです」

美談の否定

 この発言に佐藤議員が憮然とした表情を見せたのも、番組はしっかりカメラに収めていたという。

「朱教授は番組で『かつて台湾が日本を支援してくれた恩返しのため、ワクチンを供与した』という美談をできるだけ否定しようと懸命でした。日本が台湾にワクチンを供与したのは、あくまで中国に対する牽制が目的だ。いたずらな政治利用で、本当に台湾国民の健康を考えていない、というわけです」(同・メディア関係者)

 朱教授は上海に生まれ、1981年に華東師範大学で日本文学を専攻して卒業。更に修士号を取得し、日本人女性と結婚した。

 その後、学習院大学で博士号を取得すると、東大東京大学の非常勤講師などを歴任。そして1996年に東洋学園大学人文学部教授に就任した。

 同じように番組を視聴していた日台関係に詳しい専門家は、「朱教授の発言は、いかにも中国共産党が言いそうなことだなと思いました」と言う。

「例えば義援金の話ですが、義援金の一部を台湾の日系企業が寄付したのは事実です。とはいえ、日系企業に勤務する台湾人従業員が自主的に寄付を行ったのです。台湾人が震災時に日本へ義援金を送ったのは紛れもない事実なのです」

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