二軍落ちの「丸佳浩」 “飼い殺し”の嫌な予感と“スピード低下”という衰え

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守備範囲が徐々に狭まっている印象

 こうした状況に加えて、昨年までは盤石に見えた丸自身の成績も、気になる点がある。何よりも大きいのがスピードの低下だ。13年には盗塁王に輝いているが、昨年は8年間続いていた二桁盗塁が途絶えた。7年連続で受賞していたゴールデングラブ賞も昨年は逃しており、守備範囲が徐々に狭まっている印象を受ける。そうなると、脚力のある松原や重信に取って代わられるのも致し方ないと言えそうだ。

 23年まで契約は残っているだけに、丸がいきなり控えになるということは考えづらいが、巨人というチームを考えると、やはりレギュラーの座は安泰とは言い難い。復活に向けて、スピードを取り戻すというのは、今年で32歳という年齢を考えると簡単なことではない。

 そうなると、やはり重要になってくるのはバッティングだ。ロールモデルとして参考になるのは阿部慎之助である。阿部は、捕手としての守備は厳しくなっても、勝負強さと長打力はキャリア晩年でも光るものがあった。丸も打撃面で阿部のような存在感を示すことができれば、まだまだ一軍で重宝されるはずだ。

 どんな選手も年齢的な衰えは避けられないとはいえ、衰えが見えたタイミングで上手くモデルチェンジを果たした選手が長く現役を続けていることは間違いない。丸にとっては今シーズンが大きなターニングポイント。全盛期と比べて落ちてきた脚力と守備を補うだけの打撃を見せることができるか、今後の選手生命を大きく左右することになるだろう。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年6月11日掲載

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