加藤綾子アナを射止めたスーパーマーケット経営者 年商2000億円「ロピア」ってなんだ?

ビジネス

  • ブックマーク

Advertisement

 フリーアナウンサーの加藤綾子(36)がこのたび結婚したお相手は「株式会社ロピア」の2代目社長・高木勇輔氏であることが明らかになった。年商2000億円ともいわれている同社は、いま流通業界で最注目の存在であるという。その特長を流通アナリストの渡辺広明氏が解説した。

 ***

 たびたび「ホンマでっか!?TV」(フジ系)でご一緒させて頂いた、加藤アナのお相手がスーパーマーケットの社長。しかも我が家がよく買い物に行き、かつ流通アナリストという立場から注目していた「ロピア」の高木社長と知り、二度驚いた。

 高木社長については「2代目社長」と報じられているが、就任したちょうど8年前から、常に売上は右肩あがりの15%超えの急成長を遂げている。2013年2月期決算に501億円だった売上は、直近の2021年2月期には2068億円になっている。

 もともとは神奈川県の精肉店で、東京や神奈川を中心に店舗を展開していた。が、昨年に関西初店舗として「島忠ホームズ寝屋川店」を出店。その後は尼崎・奈良と立て続けに店をオープンさせてきた。まさに全国区への足掛かりを築き、業界内では最も注目の成長企業なのである。

 なぜ、ロピアはそれほど急拡大しているのか。ひとつにはEDLP戦略の成功がある。EDLPとは「エブリデイロープライス」の略で、商品の特売をせず、年間を通して同じ低価格で販売する戦略をいう。折り込みチラシもいれないため、販促費や広告にかかわる商談などの人件費も削減できる。専業主婦が減ってきている昨今は、チラシを見て店に足を運ぶという購買パターンは、それほどなくなってきた。いわば現代的なスーパーマーケットの在り方で、都市圏のスーパーの販売手法として主流になりつつある。ただ関西ではまだEDLP戦略をとるスーパーは多くないようで、先述した関西地区の店舗は高い顧客支持を得ているようだ。

 ただしロピアが優れているのは、EDLPプラスアルファとして、「3日連続お買い得」といった店内チラシは時々は作っているという点。店舗に足を運ばせる仕掛けも、きちんと行っている。

外食店も展開

 もとが精肉店なので、肉の品ぞろえと価格はたいへん魅力的である。我が家では美味しい肉を食べたい時は、まずロピアに行く。庶民派のスーパーではありながら店舗によってはシャトーブリアンを置くなど、やはり肉売り場の質では群を抜いている。

 約60ある店舗が、基本的に大店舗であるのも特長だ。これは1店舗あたりの売上を上げることでコストを抑え、良い商品を安く売る狙いだ。生鮮3品(青果・鮮魚・肉)は安いが、“安かろう悪かろう”ではないのが、人気の秘密だ。

 安さ追求のため、決済は基本的に現金のみ。店側に手数料がかかるキャッシュレス決済はつかえない。いまのところ日本のキャッシュレス決済の割合は26.8%(2019年経済産業省)程度だが、この比率が上がってきた時にロピアがどんな戦略を取っていくのかにも注目をしている。

 最近では積極的なM&Aで、メーカーや外食店をロピアグループに取りこみ、食の領域での多角化を行っているのも注目だろう。19年には、外食を運営する会社eatopia(イートピア)を立ち上げ、「ロピア松戸店」に、完全予約制の高級肉割烹料理店「窯焼き割烹 黒泉」をオープンした。いまは別店舗に人材を投入するために店は閉じているが、「圧倒的なコスパの店」として予約がとれない店だった。

 ほかには精肉の仕入れの強みを活かした焼肉店「銀座山科」を銀座に開業するなど、トライ&エラーで立て続けに高級外食をオープンしている。将来的には、肉の仕入れの強みを活かし、和牛を武器に海外での展開も期待出来そうだ。

 スーパー事業は、グループの一事業ととらえているようだ。今後、食の総合企業として小売・外食を中心に日本のみならず世界で展開していくことだろう。流通業界が最も注目する企業の社長を選ぶとは、加藤アナは先見の明がある。

渡辺広明(わたなべ・ひろあき)
流通アナリスト。株式会社ローソンに22年間勤務し、店長、スーパーバイザー、バイヤーなどを経験。現在は商品開発・営業・マーケティング・顧問・コンサル業務など幅広く活動中。フジテレビ『FNN Live News α』レギュラーコメンテーター。

デイリー新潮取材班編集

2021年6月8日掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。