なぜ「佐藤輝明」は最初からホームランを量産できるのか 阪神OBは「解説不能」と唖然

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球界の至宝

「佐藤くんのバッティングフォームは、ステップの幅が短いという特徴があります。こうすると身体の回転力が増し、ボールが遠くまで飛びます。更に彼がコンパクトに振り抜いていることも、本塁打の量産に影響を与えているでしょう」(同・広澤氏)

 短いステップとコンパクトなスイングのため、普通の打者なら詰まって打ち取られるような当たりでも、遠くまで伸びるホームランになるというわけだ。

「ステップの幅が短いところや、スイングのコンパクトなところが、王貞治さん(81)のフォームを彷彿とさせますね」(同・広澤氏)

 とにもかくにも異次元の選手であり、もはや「有望な新人」という枠は超えているという。入団1年目にして“球界の至宝”という形容が相応しい選手のようだ。広澤氏も「解説不能な才能の持ち主です」と脱帽する。

「野球解説者は場合によって、無理矢理に欠点を指摘したり、『今季は良くても来季は不安がある』などと口にしたりするものです。もっとも大谷翔平選手(26)なら、何も言うことはありません。無条件で楽しんでいます。佐藤くんも大谷選手と同じように規格外の選手です。佐藤くんも純粋に活躍を楽しむという姿勢でいいのではないかと思います」

三振でどよめき

 佐藤が規格外と太鼓判を押されるのは、ホームランを打った時だけではない。特に甲子園で三振に打ち取られると、阪神ファンのリアクションが通常とは異なるという。

「佐藤くんが本塁打やヒットを放てば、当然ながら甲子園は沸きます。ところが、佐藤くんが三振で打ち取られても『おおー』というどよめきが上がります。これは限られたスター選手だけに見られる光景です。本塁打を量産するという点だけでなく、ファンを惹きつける魅力という点でも、佐藤くんは規格外だと思います。おまけにまだ誰も指摘しませんが、守備もしっかりしています。まさにプロ野球界の宝物でしょう」(同・広澤氏)

 セ・リーグのホームラン王争いを楽しむために、知っておくと面白さが増すポイントを1つ教えてもらった。

「これから甲子園では浜風が打者に向かって吹くようになります。佐藤くんにとっては初めての経験です。ライトは普段ならホームランになる当たりでも、風に押し戻されてライトフライになってしまいます。一方、巨人の岡本くんは無風のドームですのでプラスマイナスゼロです」(同・広澤氏)

 逆に神宮球場は夏になると、外野に向かって風が吹くようになる。

松井秀喜との比較

「ヤクルトの村上くんは、神宮の風に助けられるかもしれません。3人のホームラン王争いに風がどのような影響を与えるのか注意しながらご覧になると、更に面白くなるかもしれません」(同・広澤氏)

 左打者のホームランバッターと言えば、松井秀喜(46)も思い浮かぶ。佐藤との比較を依頼したが、広澤氏は「タイプが全く違います」と言う。

「松井くんのNPBにおける通算成績を見ると、打率・304、本塁打332本となっています。つまり松井くんは三冠王を狙えるタイプだったということがよく分かります」

 一方の佐藤は大学時代でも、今のプロ通算成績でも、共に打率は2割台だ。

「佐藤くんは3割を打てるタイプではないですし、そもそも目指す必要もありません。あくまでも本塁打にこだわり、長打力に磨きをかけるべきです。そして本塁打に関する記録を片っ端から塗りかえてほしいと思います。例えばバレンティン選手(36)がヤクルト時代に記録した1シーズン60本という最多本塁打記録があります。佐藤くんなら61本を打つ可能性もあるでしょう」(同・広澤氏)

デイリー新潮取材班

2021年6月5日掲載

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