事件現場清掃人は見た 16㎡のマンションで練炭自殺した男性の“愛犬15匹”の生死

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リビング全体がトイレ

「依頼主の自宅はかなりの豪邸で、玄関のドアを開けると、奥からは犬と猫の激しい鳴き声が聞こえてきました。糞尿の臭いと獣臭が立ちこめ、『なるほど、こういうことか』と思いましたね」

 玄関のたたきには無垢のフローリングが使われていたが、そこには点々と糞の跡があったという。

「リビングに通されたとき、私は思わず顔をしかめました。というのも、床一面に大量の糞が巻き散らされていたからです。リビング全体が犬や猫のトイレのようでした」

 夫妻には子どもがいなかったため、何匹もの犬や猫を飼っていたようだ。

「犬や猫には餌だけ与え、夫妻が仕事で留守になる日中は、家の中で放置していたのでしょう。私は糞の臭いに耐えながら、リビングだけを清掃しました。他の部屋は一体どうなっていたのでしょうか。もちろんペットを飼うのは自由です。しかし、躾をするなどペットたちのことも少しは考えてあげてほしいものです」

 ところで、先のワンルームマンションでは2匹の犬が生き残っていた。こういう場合、発見されたペットはどうするのだろうか。

「犬や猫であれば、専門のNPO法人に連絡して保護してもらいます。インコや金魚などは引き取り手を探すか、私自身が飼うことになります。依頼主からたとえ遺品はすべて処分するようにと言われても、簡単に殺処分などできません。それもあって今も私の家には、たくさんの金魚がいるんです」

デイリー新潮取材班

2021年6月4日掲載

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