住所不定無職に転落した「出前館」創業者が明かす 「借金10億円で破綻」「LINEとの資本業務提携」の舞台裏

ビジネス 企業・業界 週刊新潮 2020年6月4日号掲載

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借金10億円で破綻

 巣籠もり生活に欠かせないフードデリバリー。そのビジネスモデルを日本に定着させたのは、「出前館」創業者、花蜜幸伸(はなみつこうしん)氏だった。週刊新潮2020年5月28日号「MONEY」欄に続けて、浮き沈みの激しい花蜜氏の半生を辿る。

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 出前館を1999年に創業した花蜜氏は一旦、経営の一線から退き、13年に特別顧問として復帰。社内での発言権を強めるため、出前館の運営会社「夢の街創造委員会」の株式を市場で買い集めたのだが、持ち株比率が増すと意図的に株価を押し下げる圧力がかかった。

 花蜜氏は、保有する現物株をキャッシュに換え、知人らから10億円も借り入れて、総額30億円で250万株を「信用買い」で取得する。しかしその時点で買い支え費用に窮し、米国系ファンド「ハドソン・ベイ・キャピタル・マネジメント」に20万株を売却せざるを得なくなった。

 さらに、ハドソン・ベイから裏工作を仕掛けられ、契約を結んだ途端に猛烈な空売りを浴び、花蜜氏は借金10億円を抱えて破綻したのだ。

会社の物置き

 14年4月から6月にかけて、「売り」の勢力に対して「信用買い」で抗い大敗を喫した花蜜氏。本人が当時を振り返る。

「追証を払えずに一文無しになったその日のうちに債権者が押し掛けてきて、自宅マンションから追い出されました。“住所不定”となった私は、友人の会社の物置きとか、ある経営者から投資用ワンルームマンションを提供してもらったりして生活しました」

 すべてを失った8カ月後の15年2月。夢の街創造委員会の株価を不正に吊り上げた相場操縦の疑いで、証券取引等監視委員会が特別調査に乗り出す。その証券監視委の告発を受けた東京地検特捜部によって、翌年6月、花蜜氏は金融商品取引法違反で在宅起訴された。

 無罪主張もむなしく、18年10月、最高裁で懲役3年執行猶予4年、罰金2000万円と追徴金1億2928万円が確定。罰金はクラウドファンディングでどうにか集め、追徴金は月1万円の分割で支払っているのだとか。

 なお、世間の耳目を集めた出前館と「LINE」の資本業務提携も、花蜜氏によると、どさくさ紛れに進められたのだという。

週刊新潮」2020年6月4日号「MONEY」欄の有料版では、花蜜氏自身の告白によって出前館運営会社の株をめぐる暗闘を詳報する。