反米親北でタブーのピカソ作品が韓国初公開 再び火が付くか「慰安婦像は芸術作品」論争

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あいちトリエンナーレに

 金夫婦はこれにかみつき、「著作権侵害なので設置してはならない」と警告、銅像を廃棄させた。高校側がかけた費用は約58万円だった。

 高校は結局、新しく銅像を作り直すに至った。著作権を侵害している可能性は否定できないからその点に踏み込むつもりはないが、金夫婦にとって痛かったのは、この一件で慰安婦像そのものが約58万円で制作可能だということが白日の下に晒されたことだろう。

 金夫婦が不当に収入を得ているのが事実だとしたら、銅像設置のために寄付した人々への裏切りに値するのではないか――。そんな声がメディアからあがったのも無理はない。

 その際に比較対象として名があがったのがピカソだった。金夫婦の慰安婦像制作を支持する韓国民の中には、「ピカソの作品の原価を画家本人に尋ねたり、調査したりするのか」などと訴える者も出てきた。慰安婦像は芸術作品であり、慰安婦のおばあさんたちを称える為に設置された像なのだから、これ以上原価については詮索するなというわけだ。

 慰安婦像=芸術だという主張について、韓国内での事柄なら対岸の火事と言っていられるかもしれないが、日本にもちゃっかり上陸し、飛び火していた。

 金夫婦は「あいちトリエンナーレ2019」に招待され、「平和の少女像(2011)」を出品した。

 その事実を知った市民らからの抗議が計1万件以上寄せられ、会期3日で展示は中止されたが、この時の契約内容は、作品の素材、資材購入費、一部作品の輸送費、交通費や宿泊費などが主催者側から金夫婦に支払われるというものだった。

「根拠のない日本の犯罪行為を世界に垂れ流す広告塔に対し、たっぷり上乗せした経費を含んだ制作費が金夫婦に流れていたのだとしたら、こんな皮肉なことはないですよね」(先の記者)

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮取材班編集

2021年5月19日掲載

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