「おちょやん」最後まで20%超ならず……評価は高くても数字が伸びなかった理由

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時代かぶりが続きすぎ

「色味もよくなかった。白黒テレビの時代ならいざ知らず、カラーテレビ、いまや4Kも当たり前という時代になっているのに、カラフルでありませんでした。初回は舞台から一転して、河内長野の薄汚い鶏小屋からストーリーが始まりました。中盤も砂埃舞う道頓堀。終盤はNHK大阪放送局のラジオブースと舞台ばかりで、どこも茶色っぽかった。『なつぞら』(主演・広瀬すず)もアニメを描くシーンが多かったですが、それを補うように北海道の清々しい原野があった。『エール』(主演・窪田正孝)にも安達太良山を望む美しい福島の風景がありました。テレビ画面の楽しさ、朝番組の安らぎというものを、『おちょやん』は敢えて拒否したのではないかと思うほどでした」

 前作との時代かぶりもよくなかったという。

「モデルの浪花千栄子は1907年生まれで、73年に亡くなっています。前作『エール』の古関裕而は1909年~1989年ですから、ほぼ同じ。時代背景は昭和初期の戦前から、戦中の物資不足、終戦の玉音放送、戦後の闇市と一緒にならざるを得ませんでした。しかも、古関の場合は夏の甲子園の大会歌『栄冠は君に輝く』ほか巨人、阪神の応援歌など現代人も知っているシンパシーがありました。ところが、浪花の場合、いくら“大阪のお母さん”と親しまれたと言っても、彼女を知る世代は70代後半でしょう。しかも『エール』は急死した志村けんさんや、柴咲コウさんの美声といった度肝を抜くキャスティングもありました。それに比べると『おちょやん』は一段落ちると言わざるを得ません」

 さらに、最近の時代かぶりも影響があると指摘する。

「『エール』の前の『スカーレット』(主演・戸田恵梨香)の神山清子(1936~)、『なつぞら』(主演・広瀬すず)の奥山玲子(1936~2007)、『まんぷく』(主演・安藤サクラ)の安藤百福(1910~2007)と、いずれもモデルとなったのは戦前生まれ。5作連続で、戦前から戦後にかけての同時代を見せられ続けていることになる。これでは視聴者も飽きてしまいますよ」

 とはいえ、朝ドラってそんなものではなかったか。

「『半分、青い。』(主演・永野芽郁)は北川悦吏子のオリジナル脚本で、時代背景はバブル期、モデルは自分自身と言ってよかった。『あさが来た』(主演・波瑠)の広岡浅子(1849~1919)は、戦前の話でした。また、『あまちゃん』(主演・能年玲奈[のん])で描かれたのは東日本大震災を含む現代でした」

 なんで同じ時代ばかり描いているのだろう。

「ご存知のように朝ドラは、前期がAK(東京)、後期がBK(大阪)の制作で交代交代にしています。ライバル心も強いですが、そのためか意思疎通もない。棲み分けができていないということでしょう」

デイリー新潮取材班

2021年5月15日掲載

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