「おちょやん」最後まで20%超ならず……評価は高くても数字が伸びなかった理由

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

Advertisement

 5月14日、NHKの朝ドラ「おちょやん」が最終回を迎えた。最初から最後まで、杉咲花の熱演が光った。だが、初回から視聴率は18・8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯:以下同)と低調で、ついに最終回前日まで20%を超えることはなかった。つまり番組平均20%以下という不名誉な記録を作ったことになる。なぜ、数字を取ることができなかったのか。

 ***

 このままでは、「おちょやん」の番組平均視聴率は17%台になりそうだ。直近の朝ドラで平均17%台だったのは、12年に放送された「純と愛」(主演・夏菜)以来のことになる。

「おちょやん」最終回も20%を超えなかった場合、09年の「つばさ」(主演・多部未華子)以来、一度も20%超えなしの朝ドラとなる。民放プロデューサーは言う。

「ヒロイン杉咲花の地元大阪人も舌を巻く完璧な浪花弁、そして表現力。脚本は『半沢直樹』、『下町ロケット』、『陸王』(いずれもTBS)とヒット作を連発した八津弘幸さんですから、悪かろうはずがない。実際、ストリーも面白く、朝ドラ史に残る良作と言っていいと思います。共演にもトータス松本、首相の孫・宮澤エマ、ほっしゃん(星田英利)、板尾創路、塚地武雅と個性的な配役も話題になりましたしね」

 いい材料は揃っていたのだ。

舞台が舞台という禁じ手

「材料をうまく活かしきれなかったということでしょう。塚地もいい芝居をしていましたが、出てきたのが後半になってからで遅すぎた。最終回は、女優に復帰した千代の“道頓堀の舞台”が舞台でした。杉咲と元夫の成田凌に、芝居の台詞を言わせる形で心情を語らせるという、よく練られた脚本です。ただし、『おちょやん』は初回も舞台で始まりました。モデルが喜劇女優の浪花千栄子だから、ある程度は仕方ないとはいえ、番組全般を通して舞台を映すことが多すぎましたね」

 そういえば初回は、舞台上から顔見せ的な始まり方だった。いきなりのドタバタに、シラケたという声もあった。

「客席から生で見る舞台と違って、テレビ画面に映った舞台は、絵面が二次元になってしまい、動きが平面になりがちなんです。だから視聴者は、感情移入ができなくなる。テレビでは舞台をそのまま映すのは、禁じ手と言われるほど。やっぱりテレビは飛んで跳ねて、笑って泣いて、絵面のダイナミズムが大事なんです」

 低視聴率の要因は他にもあるという。

次ページ:時代かぶりが続きすぎ

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。