茨城一家殺傷・岡庭容疑者が10年前に起こした通り魔事件 被害少女の父が語った「無念」

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

「少年法の壁、制度の限界はある」

 茨城県境町の家族4人殺傷事件で、殺人容疑で茨城県警に逮捕された岡庭由征(おかにわ・よしゆき)容疑者(26)。彼は10年前に連続通り魔事件を起こしていたが、少年法に護られ、刑事罰を受けることはなかった。「通り魔」被害者の父親は“少年法の限界”を口にする。

 ***

「これ以上、犠牲者を出してほしくない。可哀想な思いをする人を増やしたくない。私たちは裁判官や裁判員にはそう訴えて、無期懲役にしてほしいと主張しました。が、結局は“敗訴”してしまった。“彼”は少年法で擁護され、裁判所も被害者ではなく加害者のことばかり考えていた。やはり少年法の壁、制度の限界はあると感じています」

 遡ること10年、岡庭が最初に起こした事件で被害に遭った少女の父親は、取材に無念さをにじませる。

 岡庭容疑者がこの事件を起こしたのは、高校中退後の2011年。当時16歳だった彼は、ふたりの少女に刃物で襲い掛かり、殺人未遂容疑で逮捕された。卑劣極まる「連続通り魔事件」を受け、さいたま家庭裁判所は刑事処分が相当と判断し、検察に逆送。岡庭はさいたま地裁で裁判員裁判にかけられた。しかし、当の地裁は13年3月に「保護処分が相当」と結論づける。その後、家裁の審判を経て、岡庭は医療少年院へと送られることとなった。

 冒頭の父親が続ける。

「彼は医療少年院で更生したということで社会に出てきたわけです。いかし、いまだに彼から私たちへの謝罪はありません。彼の両親からの謝罪も一切ないままです。正直なところ、娘が被害に遭うまで事件報道に興味はありませんでした。ただ、自分たちがその立場になってみると、同じような事件が連日のように報道されていることに気がつきました。彼のように刑事罰に問われない人間が事件を起こした場合、被害者は気の毒と呼ぶしかない状況に置かれる。私の家族が負った心の傷もまだ癒えていません」

 なぜ凶行は繰り返されてしまったのか――岡庭容疑者の少年時代の犯行を知れば、誰もがこんな思いに駆られるはずだ。

 5月12日発売の週刊新潮では、10年前の事件の裁判記録に残された、その常軌を逸した言動を明かすと共に、岡庭容疑者の素顔に迫る。

週刊新潮 2021年5月20日号掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。