「全裸男」に「クモ男」、「照明灯に10時間立てこもり」…プロ野球で起きた “珍事件”

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「今お宅が燃えていますから……」

 連日熱戦を繰り広げているプロ野球。球場での生観戦はファンにとっても最大の楽しみだが、過去には、グラウンドでプレー中の選手たちも思わずビックリの珍ハプニングも何度か起きている。

 試合開始前にスタンド中がどよめくような仰天アナウンスが流れたのが、1959年7月2日の西鉄vs大毎(平和台)である。大毎のフリー打撃中、「(福岡)市内〇〇町の〇〇さん、今お宅が燃えていますから、至急お帰りください」と火事を知らせる緊急放送が流れたのだ。

 スタンドは、慌てて帰宅の途につく観客をひと目見ようとざわつきだし、特に外野席は賑やかだったという。当時の西日本新聞には、同日17時半過ぎ、球場近くの作業現場の倉庫から出火したという記事が載っており、この火事についてのアナウンスだったと思われる。板壁、スコップなどを焼いて約15分後に鎮火し、大事に至らなかったのは、不幸中の幸いだった。

 ちなみに、この日19時に始まった試合では、西鉄の先発・河村英文が2回に1点を先制された直後、突然ベンチに走り込むハプニングもあり、「河村選手は貧血を起こしていますので、しばらくお待ちください」と放送された。

 実は、家を出るときに脂っこい物を食べたため、初回から胸がムカムカして我慢できなくなったのが原因。火事もそうだが、今ではあり得ない内容のアナウンスは、時代を感じさせる。

「ストリーカーが現れました!」

 試合中のグラウンドに突然、全裸の男性が乱入する“ストリーカー騒動”が起きたのが、74年4月20日の巨人vs.中日(後楽園)である。

 4対3とリードした巨人が8回、3つの四球で1死満塁とした直後、右翼席から全裸のメガネをかけた男性がグラウンドに飛び出してきたのだ。ラジオの実況アナが思わず「あっ、ストリーカーが現れました!」と絶叫する。4万6千人の観客があっけに取られるなか、男性はあっという間に外野を走り抜け、セカンドのポジション付近に達した。そして、芝生の切れ目付近で座り込むと、2度、3度と土下座した。

 間もなく駆けつけた球場係員に取り押さえられ、スタンドに向かって手を振りながら退場。この間わずか2分足らずの出来事だった。その後、男性は富坂署員に業務妨害と公然わいせつで御用となり、パトカーで連行された。

 同署の調べでは、男性は33歳の工員で、「勤めている会社の社長に悪いことをしたと思って、頭を丸めたが、それだけでは申し訳ないと、球場でみんなの前で頭を下げた」などと事情説明していたという。

 試合は巨人が5対3で勝ったが、川上哲治監督は「今日は野球どころじゃなかった」と苦笑い。一方、試合を生中継していた日本テレビは、事件の11分前に中継を終了していたため、担当者は「放送コードに引っかからずに済んで、ヤレヤレでした」と胸をなでおろしていた。

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