田舎の人々が迷惑する「ナチュラリスト系移住者」3パターン 保育園や幼稚園の苦労も

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(3)自然食品系ナチュラリスト

 なぜナチュラリスト系移住者は、“ほどほどに合わせる”ということができないのだろうか、と思う。最近の富裕層移住者に多いのが次のケースである。

 子供の幼稚園に出てくる給食や、園のおやつは拒否。理由は「人工添加物が混じっているものは子供に食べさせたくない」からだそうだ。ゆえに、おやつなどは毎日、手作りのものを持参させるのだ。

 もちろん、すべての施設が、そんな都会人のわがままに付き合ってはいられない。ただでさえ数の少ない田舎の保育園と幼稚園を「安心・安全なママの手作り無添加おやつ」持参を認めるか否かで、さらに区別するのだ。

 そのため、持参が許されるところには、こうしたナチュラリストの子息や息女が集まることになる。

最も大変なのは保育園・幼稚園の先生

 さて、ナチュラリスト系移住者に悩まされる地元民は大変である。これが年齢を重ねた移住者であれば、良い意味で“なあなあ”にやっていく処世術を知っている。問題は、世馴れしておらず、生き方や子育てに強い方針や夢、“野望”を抱いて移住してくる若い移住者たちだ。そうした移住者たちと直接的に接する機会が多いのは、(3)で紹介したような保育園や幼稚園の先生たちである。

 地方で暮らす人たちで、移住者との人間関係に揉まれているのは、じつは彼らかもしれない。ナチュラリスト系の親のわがままに付き合い、いなし、暮らしを円滑に「まわす」先生たちは尊敬に値する。

 もっとも、こうした先生方は、若い頃に関東や関西圏の都市部で保育園や幼稚園の先生をしたうえで、“出戻り”してきた人々であることも多い。都会のモンスターペアレンツの最前線に立っていた者だからこそ、移住系モンスターらの適度なさばき方にも慣れているのかもしれない。

柴田剛(しばた・つよし)
地方移住や老後の住み替えなどについて取材するライター。

デイリー新潮取材班編集

2021年5月3日掲載

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