中国駐大阪総領事館のトップが約半年不在 華僑社会でささやかれる“身柄拘束”説

国内 社会

2021年04月26日

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過去に類例も

「総領事が姿を消した」「総領事館からは何の説明もない」──。在日華僑・華人らの多くが口をそろえ、首を傾げている。中国の駐大阪総領事館のトップが、昨年秋に本国に一時帰国したまま任地の大阪に戻ってきていないことが、4月26日までに関係者らへの取材で明らかになった。(ジャーナリスト・吉村剛史)

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「台湾海峡の平和と安定」と民主主義の堅持などを共同声明に明記した日米首脳会談。中国は、香港の民主派排除や、ウイグル族に対する人権侵害に加え、台湾に対する軍事的圧力、周辺国などへの「戦狼外交」を展開し、強権的な姿勢を強めている。

 それに対し、日米が連携して対峙する姿勢を明確にした格好だが、そんな中、中華人民共和国駐大阪総領事館(大阪市西区靱本町)の何振良[か・しんりょう]総領事は、ひっそりと公務の場から姿を消した。

 日本有数の規模を誇る総領事館ながら、在日華僑・華人らにすらその理由を明らかにしておらず、一部領事業務にも支障が生じ始めており、「権力闘争に巻き込まれ、拘束されたのではないか」と推測する声も。

 今年7月に中国共産党結党100周年をひかえる習近平指導部の中で、いったい何が起きているのだろうか。

 中国駐大阪総領事館は、近畿、中国、四国など2府12県を管轄する、日本では東京の駐日大使館に次ぐ規模を誇る中国の在外公館だが、総領事館関係者によると、何総領事は昨年11月ごろに一時帰国。その後約半年間も任地の日本、大阪に戻ってこない状況が続いているという。

知日派の経歴

 昨年12月ごろからは、女性副総領事の張玉萍[ちょう・ぎょくへい]氏が「代理総領事」の肩書で対外業務をこなすようになったが、関西の華僑・華人らは「着任からまだ1年も経っていないのに、総領事館からは何の説明もないままトップが長期不在。こんなことは異例」と首をかしげる。

 駐大阪総領事館が公開している経歴表などによると、何総領事は1967年11月生まれの53歳。法学修士。東京の駐日大使館勤務をはじめ、北京の外交部(外務省)本省アジア局日本遺棄化学兵器問題処理弁公室の役職などを経て、2016年から19年まで駐福岡総領事を務め、20年2月、李天然[り・てんねん]氏の後任として駐大阪総領事に着任した。

 総領事館に着任後、同年春に予定されていた習近平国家主席の国賓訪日について「中日関係は包括的な革新の時代に入り、重要な機会が到来する」と展望し、関西エリアでの中国との友好交流や協力のレベルをあげることに意欲を示していた。

 経歴から明らかなように、何氏のキャリアのほとんどが日本での勤務や、対日部門の知日派だ。

 関西の華僑らによると、04年9月から07年9月まで駐日大使を務め、やはり知日派として知られる王毅国務委員兼外相に近い人物だとされている。

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