中日の“貧打”はどこまでも続く…長打力不足を解消する「トレード&ドラフト」戦略は?

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腰を据えて取り組むことが重要

 即効性はないものの、チームの将来を考えると、やはりドラフトで強打者タイプを獲得することは必要になってくる。一昨年は石川昂弥を引き当てたが、若手を見てもやはり長打力のある選手は不足している。そこで少し気が早いが、今年のドラフトで狙い目の選手もピックアップしてみたい。

 まず、筆頭候補として挙がるのが、高校生ナンバーワンスラッガーの呼び声も高い阪口樂(岐阜第一)だ。昨年夏の岐阜県代替大会では長良川球場の左中間とライト中段へ叩き込むホームランを放つなど、その長打力は抜群で、何よりも打者としてのスケールの大きさが魅力である。準地元の岐阜ということは関係なしでも狙うべき選手と言えるだろう。

 大学生でナンバーワンの長打力を誇るのが正木智也(慶応大)だ。高校時代からその長打力は折り紙つきで、東京六大学でも現役最多の7本塁打(4月15日終了時点)を放っている。少しバットが外回りする課題はあるものの、芯でとらえた時の打球は軽々とスタンド中段まで届く長打力は大きな魅力だ。

 それ以外では、高校生では選抜高校野球で活躍した松川虎生(市和歌山)、大学生では抜群の体格とパワーが魅力の中山誠吾(白鴎大)、鵜飼航丞(駒沢大)。社会人では25歳となるものの、今年公式戦でホームランを連発している向山基生(NTT東日本)なども候補になってくるだろう。

 広いバンテリンドームを本拠地としているだけに、投手を中心とした守りと足を使った攻撃で戦うというのは方針としては決して悪いものではないが、常に優勝を争っていた落合博満監督時代には、ウッズやブランコという外国人選手以外にも和田一浩、森野将彦といった長打のある中軸の働きが大きかった。強打者タイプの育成は時間がかかるものではあるが、それに目を背けることなく、腰を据えて強化に取り組むことが重要になってくるだろう。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年4月23日掲載

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