文大統領がツイッターで国民に平謝り、自身も絡んだ不動産取引の怪しさが怒りを買って

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最後のチャンス

4.文在寅大統領自身が購入した農地を宅地に転用

 文大統領が大統領退任後に住む場所として、2020年に韓国南部の梁山(ヤンサン)市に約1億円で土地を購入した。一部は農地であり、韓国では農地は農業に関係する人たちに限って購入できるとされているのだが、文大統領は「夫人と共に家庭菜園で11年間農業をしていた」と申告して購入。そしてこの土地は、購入の翌年の21年1月に、登記簿上は「農地」だったものが「宅地」に変わり、結果として土地の価値が上昇している。

 これでは、曹国氏や尹美香氏に続き、文在寅大統領も“タマネギ”の冠を戴きつつあると言えるかもしれない。

 当の文在寅大統領は一連の問題に関して3月29日、自身のツイッターにこう“連投”している。批判を真摯に受け取めます、という内容だ。

「私たちは国民の怒りと叱責を厳重に受け止めなければなりません。公職者と公共機関の職員たちの不動産投機は、国民のマイホームづくりの素朴な夢と公平な機会という基本的な要求を踏みにじりました。私たちの社会が更に公平なものへと歩んでいるという国民の期待までも踏みにじりました」

「韓国政府が全てできるとは思っていません。しかし、(それぞれが望む)
道に進むための最初のきっかけを作ってやらなければならない。お叱りを受け止め、国民の怒りを『不動産腐敗の根本的な清算』のための原動力にします」

「今、我々に向けられる罵倒はとても耳に痛いものです。不動産政策においても韓国政府が国民からの評価を反転させることができ、最後のチャンスになるという強力な意志を持つように指示します」

「これを機会に『利害衝突防止法』を必ず制度化し、公職者の腐敗の芽を根本から遮断することを望みます。国会にも格別な協力を求めます」

監獄送りになる

 つい2週間ほど前の3月12日のツイートでは、「選挙時期(ソウル市長選は4月7日投開票)だから理解はできるが、ほどほどにしなさい」、「みみっちくて、恥ずかしい」と自身や政府への批判に対して、大統領は“逆ギレ”とも取れるような苛立ったツイートを投稿していた。

 両ツイートを比較するまでもなく、一連の疑惑を猛省し、国民に許しを乞う必死な様子が窺える。

 必死になる理由はひとつ。このままでは彼も監獄送りになるからだ。

 彼は大統領就任当初から「高位公職者犯罪捜査処法」の成立に積極的に取り組んできた。

 これは、既存の検察組織が政府高官らを勝手に捜査しないよう、大統領が任命した高位公職者犯罪捜査処(公捜処)に捜査権を移すというもので、結果として自分や側近らに都合の悪い捜査を実質的に止めてしまう法律だ。

 もっとも、彼が来年に退任した後に、この法律が効果を表すとは到底思えない。

 むしろ、これまでの歴史を見るにつけその逆で、ありとあらゆる疑惑が捜査の対象となるはずだ。

 文大統領が李明博元大統領を懲役17年の実刑へと追い込んだように、右派候補が大統領に就任すれば法を改正し、文大統領を罰する可能性は高いだろう。

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮取材班編集

2021年4月1日掲載

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