今大会No.1右腕は市和歌山「小園健太」、スピードだけでない超高校級の実力

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 2年ぶりに開催される選抜高校野球。プロのスカウトも注目する選手が多く出場する予定だが、中でもナンバーワンの注目度を誇るのが市和歌山のエース、小園健太だ。中学時代は大阪の硬式野球クラブチーム「貝塚ヤング」でプレーし、3年夏にエースとして全国大会で優勝。多くの強豪校から声がかかったが、バッテリーを組む松川虎生の誘いもあって市和歌山に進学した。

 チームは小園が入学する直前の選抜でベスト8にも進出していたが、そんな中でも1年春からベンチ入りを果たし、その夏には早くも140キロを超えるスピードをマークして素質の片鱗を見せた。昨年はコロナ禍で春から公式戦が行われない中でも着実に成長。昨年7月には大阪桐蔭との練習試合で152キロをマークし、その後の和歌山県代替大会では3回戦で智弁和歌山に敗れたが、小園自身はリリーフで4回を1失点と好投。この時の投球がネット中継で配信され、小園の名前が一躍全国に広がることとなった。

安定したフォーム

 報道では『最速152キロ』という数字がまず紹介されることが多いが、小園の特長は決してスピードだけではない。むしろ魅力を順番に挙げていった時に、ストレートの速さと言うのは4番目か5番目という印象を受ける。

 まず、何よりも得難い長所は、その安定したフォームだ。184cm、90kgと高校生として堂々とした体格を誇るが、ネット裏からその投球を見ていると、良い意味で体がシャープに見える。なぜなら、腕を振る前に体の正面が三塁側を向いている時間が長く、ギリギリまで捕手の方に正対しないからだ。

 打者にとっては、ボールを見る時間は短くなり、タイミングをとるのが非常に難しい。それにくわえて、立派な体を誇りながらも、決して力任せではなく、楽に腕を振って速いボールを投げられるため、そのギャップに打者は苦しむことになる。少し形は違うが、全体的なイメージは金子弌大(日本ハム)が近いのではないだろうか。

 変化球と投球術も高校生レベルをはるかに超えている。カットボールは大げさではなく真横に滑るように見え、右打者の外角だけでなく内角にも投げ切ることができる。左打者にとっても、当然脅威となるボールで、膝元に決まると思わず天を仰ぐようにして空振りする場面も少なくない。カットボールと対になる変化のツーシームも鋭く沈むが、相手や場面に応じて変化の大きさを変えられる。それ以外にも、少しスピードを落としたスライダーとチェンジアップも備えており、緩急を使えるのも大きな武器だ。

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